【日本国内編】 お客様事例

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旭化成ファーマ株式会社様

旭化成ファーマ株式会社
医薬研究センター
有本宏子様、小川ひろみ様に お話を伺いました。



-本日はお忙しいところありがとうございます。
よろしくお願いします。

 分取精製を取りまとめている有本です。よろしくお願いします。UPLC の測定をしている小川と申します。よろしくお願いします。

-最初にLCに関連するお仕事内容をお聞かせ頂けますか。

 小川様(以下敬称略) - ベンチケミストが合成した化合物をチェックするのに、主にUPLCを使って測定しています。

-有本様のLCを使用した主なお仕事内容はいかがですか?

 有本様(以下敬称略)ベンチケミストが精製して欲しいサンプルとUPLC測定結果を持参し、そのクロマトから最適メソッドを選択して分取をするという仕事です。

-そうですか。最初にUPLCをお知りになったきっかけは何ですか?

 小川 - 機器展と、あとは営業の方から紹介していただいたのだと思います。

-そのとき何に興味をもたれましたか?

 小川 -とにかく測定時間が短くなるというのが一番の魅力でした。ほんとにこんなに短くて分離できるのかなと、ちょっと信じられませんでした。カラムの圧があんなに高くて装置が壊れないのかというのは心配でした。
-現在UPLCには検出器としてシングルのMSを使用されているのですか?

 小川 - そうです。化合物があるかどうかはMSで確認して、PDAとELSDで純度の確認を行っています。

-UPLCをご購入された理由は何ですか?

 小川 - 1本の測定時間が短くなるというのが一番の魅力でした。以前は日中に40~50本までしか測定できなかったので、終夜の合成をかけたいという時に、朝仕込んだ合成のチェックをしないまま合成にかけているということがよくありました。UPLCになるとリアルタイムに近い形で測定ができるようになったので、物が出来ているということを確認してから次の合成を行うことができるようになりました。1本の測定時間が短くて日中に測定できる本数がすごく増えるというのが一番魅力で導入しようという決め手になりました。

-時間的にはどのくらい短くなったのですか?

 小川 - 最初聞いたときは「2分でできます」というお話を聞いたのですが(笑)。結局イニシャルの条件に戻すのを含めて1本4分で測定しています。以前は分離を無視して押し出すような形で測定をしても8分かかっていたのですが、UPLCでは1サイクル4分になりました。ちょうど半分になったという感じです。

-半分というのはかなり大きいですか?

 小川 - かなり大きいですね。

-時間の短縮以外でUPLCがHPLCと違ったところはありますか?

 小川 - 装置的には普通のHPLCと変わらないイメージです。高圧になったからといって、どこが壊れやすいとか詰まりやすいということもないので。使用に際して抵抗がないことが良かった点になります。あとは分離が速くはなったのだけれどもきれいに分かれるという感じはします。

-カラムはBEHのタイプをお使いですか。

 小川 - (BEH)C18を使っています。一応(HSS)T3を持っていて条件によっては変えようかなと思っているのですが、今のところ変えることもなく(BEH)C18でオールラウンドに分析できています。

-そうですか。もしBEH C18で保持が不十分な極性化合物を分析することがありましたら、HSS T3を試してみてください。UPLCカラムが通常のHPLCのカラムと使い勝手等で何か異なる点はありますか?

 小川 - 特にあまり感じないですね。使用前には「すぐ詰まるのでは?」という不安があったのですが、全然問題ないなと感じていて、安心して使っています。

-1本のカラムで何インジェクションぐらいされていますか?

 小川 - 2カ月位使っています。ほんとはこんなに使ってはいけないのでは?と思ったりもするのですが、7,000~8,000回測定していると思います。

-この間お話しを伺った別のお客様は薬動の部署の方でしたが、1万5,000回とおっしゃっていました(笑)。

 小川 -そうですか、では大丈夫ですね(笑)。少なく言って7,000~8,000回、1万5,000回まではいってないと思うので、1万回くらいです。圧が高くなったとか、ピークが少しブロードになってきたという感じのところで交換するようにしています。

-合成物はあまりきれいでないかと思うのですが、サンプルはフィルターろ過だけですか?

 小川 -結晶しているものはフィルターろ過しています。それ以外は、「濃度を薄くして持ってきて」とベンチケミストに強く言っています。

-UPLCでの分析の後にスケールアップして分取に移行されているということですが、弊社のカラムは使用されていますか?

 有本 -XBridge を使っています。UPLCのクロマトを見てそのまま分取に移りたいので、どのカラムが一番UPLCの分離を再現できますかと担当の方に聞いたらXBridgeだという返答をもらいましたので何の迷いもなく使っています。

-ありがとうございます。何か問題等ありますか?

 有本 -問題はあります。すいません(笑)。UPLCの方ですごくインジェクションできて、それは嬉しいことなのですが、分取のほうがそこまで伸びていません。インジェクション回数が500いかないのでちょっと少ないです。以前に違うブランドのカラムでも同じぐらいでしたが、XBridgeのカラムは堅牢性が利点ですよね?

-はい。

 有本 -なので、アドバイスをいただけたらと思っています。ガードカラムを付けるのも手なのかとは思ったのですが、ただ、若干保持時間も延びてしまいますよね。

-少しだけボリュームが増えますが、流速から考えると保持時間への影響はそれほど大きくないと思います。サンプルの希釈溶媒は何を使用されていますか?

 有本 -基本的にはDMSOです。過去に参加したウォーターズさんのセミナーでDMSOは分離度が良くないと教えてもらったので、DMSOとメタノール半々で希釈してみたのですが、メタノールが揮発しやすいので終夜測定をかけた時に濃度がだんだん濃くなってしまうという問題があって難しいところです。

-カラムが劣化するというのはどういう状態になりますか?

 有本 -圧上昇とピーク形状の2種類です。カラムの洗浄というのもセミナー資料に詳しく書いてあったので試そうと思っています。

-弊社の分取カラムはOBD というカラムデザインで均一にきっちり詰めてあるので、充てんベッドに空隙ができてピーク形状が悪くなるというのは起こりにくくなっています。圧上昇もあるということですので、何かが詰まってしまってピーク形状が悪くなっているという可能性も高いかと思います。

 有本 -詰まってということでしたらガードカラムを使うというのは手ですよね。

-そうですね。ガードカラムを交換していただければ。カラム自体は長く使えます。

 有本 -洗って使えるものと考えていいですか。

-もしかしたらカラムの中で析出してしまっているのかもしれません。それだとちょっと難しいかもしれません。他には、At Column Dilutionという方法をご存知ですか?

 有本 -はい、見たことがあります。

-ローディングポンプを使ってインジェクターからカラム直前のTeeコネクタまで有機溶媒でサンプルを移動させ、Teeコネクタの部分でグラジエントポンプから送液される水系移動相でサンプルを希釈しながらカラムまで移動させます。ピーク形状も良くなりますし、サンプルの析出を防止できるのでカラムの寿命も延ばせます。

 有本 -分取精製でやっていらっしゃる方は割といますか?

-DMSOとかがよく使われるところですとありますね。通常の配管と切り替えられるような設定もできるので、希釈溶媒がDMSOの時はAt Column Dilutionに切り替えるということもできます。通常の配管に加えて必要なのはバルブとローディングポンプ、Teeコネクタです。比較的簡単に設定していただけます。

 有本 -前向きに検討したいと思います(笑)。今うちでは、UPLCも分取も移動相は0.1%の酢酸の系で行っています。ただ、化合物によっては塩基性の物もあるので、分取のほうではもっと最適な条件というのが実際はあるか思います。ウォーターズさんはカラムの種類もたくさん出されていて興味はすごくあるのですけれども、なかなか検討できません。時間を見つけて、その化合物に合ったカラムと移動相を選びたいと思っています。塩基性の化合物には塩基性の移動相の方が保持がいいですよね?

-そうですね、負荷量も増やせます。

 有本 -今後、メソッドの検討も含めて、最適条件を作っていきたいですね。

-弊社の方でも新しいセミナーなどの情報を随時ご紹介させていただければと思います。

 有本 -嬉しいですね。ウォーターズさんは、セミナーはどうですかって勧めてくださったりとか、ユーザーに対してのカタログ、データ等の情報提供が行き届いていて、非常に仕事をしやすい環境を与えてくれるという印象があります。カタログ等も多数ありますよね。

-ありがとうございます。スケールアップはUPLCの結果を見て分取に移行されるということでしたが、実際にはどのように移行されているのですか?

 有本 -分取精製のメソッドを5種類用意し、UPLCの保持時間からメソッドを選びます。イニシャルのアセトニトリルの割合を変えてグラジエントカーブは緩やかにして、目的分取物が不純物と最も離れて溶出するようにメソッドを組んでいます。UPLCの保持時間から、条件検討することなくすぐに分取作業に入れるという点で、時間をロスしないように効率よく分取を行っています。

-ちょうど有本様の方法と近いアプリケーションがありますのでご紹介させて頂けますか。分取のLC条件をあらかじめ数種類作って、UPLCの保持時間をもとに分取のLC条件を選択すると言う内容です。分取LC条件には分析時の保持時間範囲を設定してありますので、UPLCの結果から目的成分の保持時間が入る分取LC条件を自動で選び、保持時間に焦点を当てたグラジエント分析を行なっています。この自動選択機能がFractionLynxのVersion4.1以降には標準でついています。

 有本 -4.1ですか。

-はい。AutoPurifyという機能です。このアプリケーションは、その機能を使った一例 です。

 有本 -これはこの装置を使わないと、すぐにはスケールアップができないのですか?

-いいえ。

 有本 -バージョンを変えればいいんですか?

-はい。FractionLynxのVersion4.1で、この機能をご使用頂くことができます。

 有本 -分析してオートでできるというのがあったのはこのことだったんですね。

-ええ。こちらの2767システムであれば1台で分析、分取、取ったフラクションもバイアルに入れ替えずにそのまま純度確認の再分析まで全て自動で行えます。ただ、時間短縮という点では、スクリーニングにはUPLCを使用したほうがスピード自体は速いと思います。

 有本 -そうですか。

-1日に何サンプルぐらい分取されていますか?

 有本 -ウォーターズさんの分取装置を導入したのが2002年で、当初はUVトリガーでした。その頃は大体年間200サンプルぐらいでした。昨年の依頼件数をカウントしたら1,000化合物を突破していました。実質は1日4~8サンプルはこなせると思います。

-現在はMSトリガーですよね?

 有本 -MSはウォーターズさんのZQとZMDです。MSに加えてPDAとELSD検出器がついています。UPLCの方でデータを取っているMS、UV、ELSDは再確認という意味も込めて、分取の方でもデータ取りはしています。

-MSの日常的なメンテナンスはどれぐらいの頻度で行われていますか。

 小川 -UPLC/SQDの方はほとんどしてないのですけども。うちは、合成サンプルの測定なので、どうしても濃くなってしまいます。SQD検出器は感度がよすぎるので、サンプルコーンからだいぶ外したところを狙っています。本当に少しだけしかMSのほうには入っていかないような設定になっているのできれいです。(笑)。そんなに汚れない。

-分取装置のメンテナンスはいかがですか?

 有本 -分取装置の方もガンガン打っているわりにはMSの部分とかそんなにメンテナンスしてないんですよ、実は。チューニングとかのやり方とかも聞いたんですけど実はやったことがなくて、いつも年に1回の定期点検で済んでしまっていて助かっているんですよ。本当に汚くなったら多分MSが合わないとかなってくると思うので、その時にはと思っているんですけど。そんなに汚れませんね。

-ソフトウェアはMassLynxをお使いいただいているかと思いますが、使い勝手はいかがですか?

 有本 -比較はできないのですが、操作が分かりやすく、便利に使っています。

-ありがとうございます。Version 4.1になってからいろいろと機能が追加されました。スレッシュホールドという検出器の閾値の設定についてもです。

 有本 -MSですか? UVは?

-UVもMSもです。目的のm/zに対しての閾値はそれぞれ違いますので、最初にブランクまたは希釈溶媒だけを分析しておくと、そのデータをもとに全て自動でスレッシュホールドの計算をするようにファイルを作ってくれます。それを使って分取をスタートすると、その目的のm/zや波長においての閾値を自動で設定してくれます。

 有本 -面白いですね。閾値の設定は大変です。コツを得るまでに時間がかかります。そういうふうにシステム化出来るとすごくいいですよね。

-UVの場合グラジェントではベースラインが徐々に上がってしまいますので、「何分間隔」での平均閾値を自動設定もできます。ピーク強度が低いものが目的の場合、ベースライン強度も上がる傾向があるので、そこで閾値を測定の初めから終わりまで全てに統一となると結構......。

 有本 -きついです。今のところ2成分分取のみの形になってしまいますけど、そのピーク形状が、1成分、1成分、やっぱり違うので。

-そういったところに結構、融通が利くような機能が出てきていますね。

 有本 -どんどん改革していますね。かゆいところに手が届く。(笑)でもあまり予算もかけられないので、いいとこ取りで頑張っていきます。

-最後になりますが、御社のPRをお願いします。

 有本・小川 -旭化成ファーマでは、高齢化社会を迎えるにあたり、骨粗鬆症等の骨代謝疾患が増加することに注目し合成カルシトニン誘導体製剤「エルシトニン」注射剤をいち早く上市し、現在骨形成促進効果のあるPTHの臨床開発を進めています。また、排尿障害改善剤「フリバス錠」では服用しやすい口腔内崩壊錠を販売し、更に新規の作用機序をもつ過活動膀胱治療薬の開発を行うなど高齢者のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)の向上に努めています。そして、新薬メーカーとしての世界的な地位を得るために、私たちが所属する医薬研究センターにおいては、社会ニーズに沿った新薬創製をめざして努力しています。これにより我々は、科学と英知により、人びとの"いのち"と"くらし"への貢献を目指す旭化成グループの中で、優れた医薬品、医療機器、関連製品をお届けし、人びとの健康で豊かな生活の実現に貢献したいと考えています。

-本日はありがとうございました。


担当者コメント:
創薬における合成化合物の分取精製にACQUITY UPLCをはじめとするウォーターズ製品を有効にご活用頂いているお話を伺うことができました。ウォーターズは分取精製にご活用頂けるカラム、システムやソフトウェアなどの商品にも力を入れています。今後もセミナー等で分取精製の分野のお客様に有用な情報をご提供できるように頑張っていきたいと思います。これからもよろしくお願いします。
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