【日本国内編】 お客様事例

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イスクラ産業株式会社様

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イスクラ産業株式会社
開発一課 加茂智嗣様にお話を伺いました。




―本日はお忙しいところありがとうございます。
はじめに、加茂様がどのようなお仕事をされているのかお聞かせいただけますか。

 加茂様(以後敬称略) - 主に一般用医薬品の生薬製剤及び漢方製剤の研究開発を行っています。実際の業務としては、主に、生薬・漢方製剤についてHPLC等の機器を用いた分析と、漢方エキスや原料に用いる生薬についての基礎的研究を行っています。

―HPLCを使用されるのは、生薬の成分とか、原料の分析ですか?

 そうですね。生薬、漢方製剤の定性試験とか定量分析に主に使っています。

―検出器はUVですか?

 そうですね、Diode Arrayの検出器を使っています。

―生薬の分析で特に合成医薬品の分析と違う点や難しい点はありますか?

 漢方薬と合成医薬品との大きな違いは、一つの製品に含まれている成分の数だと思います。合成医薬品の場合は添加剤なども含めて数種類の成分から構成されていることがほとんどだと思いますが、生薬中には一般的に数百~数千種類の成分が入っているといわれていますので、そのいくつもの生薬を組み合わせて作られる漢方薬の中には数千~数万種類の成分が含まれていることになります。なので、分析する際に、分析対象の成分以外の夾雑物が多く、分析法の確立が難しいということが問題としてあります。

―分析法の確立が大変だとおっしゃいましたが、一つの分析法を作るのにどのぐらいの時間がかかりますか?

 難しいものに関しては、サンプルを前処理しなければならないということもありますので、そういったことを含めると、一つの分析法を作るには1カ月は必要です。

―分析対象の成分以外の夾雑物がかなり多いとのことですが、そうすると分析時間もかなり長くなりますか?

 ピンからキリまでありますが、1回の分析が10分以内でできるものもあれば、30分とかかってしまうものもありますし、中には1回の分析の後に必ずカラムの洗浄操作を入れなければならない場合も出てきます。

―一般的には逆相での分析ですか?

 そうです。ほとんどの場合は汎用性の高いC18のカラムを用いて分析しています。

―C18以外に使われるカラムはありますか。

 ほとんどC18ですが、C18では保持されないような成分だったり、他の成分との分離が不十分な場合もありますので、そういった場合にはC8とかフェニルとかそういった担体か、あとは順相系のアミドカラムを使って分析しています。

―分析法を作られる際に、最初に使うカラムを選ばれるポイントはありますか?

 最初にこれというのはないですが、何種類かのC18のカラムを使って、その分析対象について最も分離がいいものとか、理論段数の高いカラムを選んで使うようにはしています。

―同じ条件でいくつかのブランドのC18カラムを用いて分析してみて、一番よかったもので最適化していくということですか?

 そうです。

―今回はアミドカラムのお話をお聞かせいただくのですが、アミドカラムは、今回のGinsenoside Rb1の前に、ほかにも生薬の分析で使われたことはありますか?

 今回のGinsenoside Rb1の分析が日本薬局方フォーラムに収載されてからアミドカラムを使うようになりました。アミドカラムをGinsenoside Rb1以外のものに使ってみたことは、今のところはまだないです。

―アミドカラム以外のHILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)モードのカラム、例えば非修飾のシリカゲルとかジオール基のついたHILICカラムなど使用されたことはありますか?

 HILICではアミノカラムが一般的だったと思います。ただ生薬成分の中にはアルデヒド系の化合物が入っていてアミノカラムの劣化を早めてしまうということがあります。使っていなかった訳ではないですが、生薬という分野でアミノカラムを使うのは抵抗がありますね。HILICシリカやジオールは使った事はありません。

―お客さまによってはHILICカラムは再現性が悪くて使いづらいという印象を持たれている方もおられますが、今回アミドカラムを使用されていかがでしたか?

 アミドカラムに関しては再現性が悪いということはないと思います。

―では、アミドカラムがC18に比べて特別に使いづらいという印象は・・・。

 全くないです。

―そうですか。今回、Ginsenoside Rb1のアミドカラムでの分析ということでお話を伺いますが、どういう経緯でアミドカラムになったか教えていただけますか。

 2006年に第15改正日本薬局方でニンジン中のGinsenoside Rb1の含量規格が収載され、その頃から漢方エキス剤中のGinsenoside Rb1の定量についても学会などでよく話題になっていました。私がこの業界に入ったのが、ちょうどその2006年ぐらいですが、その頃には既にSepPakのC18を用いたサンプルのクリーンナップ方法がいろいろな先生方の検討によって確立されていました。分析方法に関しても、いろいろな先生方が検討されていましたが、昨年、日本薬局方フォーラムの中で漢方製剤中のRb1の分析法がアミドカラムを用いた方法で紹介されたということもありまして、そのあたりからC18での前処理に加えてアミドカラムで分析するという方法がRb1の分析法で主流になってきました。

―生薬の分析の場合、固相抽出を用いたクリーンアップを行う場合が多いですか?

 そうですね。やはり夾雑物が多いということもあるので、SepPakの前処理はよくやることでもありますし、Oasis MAXとかMCXとかそういったものを使った分析方法もいろいろな先生方が紹介されています。

―アミドカラムでの分離は、C18に比べてどうですか?

 夾雑物がピークの周辺に出てこない点が一番だと思います。

―Ginsenoside Rb1の分析で他のアミドカラムでも分析されていたかと思いますが、今回XBridge Amideカラムをご使用いただいた印象や結果についてお聞かせいただけますか?

 実際に日本薬局方フォーラムで紹介されていた試験方法で、いろいろな漢方処方についてXBridge Amideの4.6×150mmと250mmのカラムを2種類用いて分析してみましたが、結果はどちらも良好でした。実測値でいうと150mmのカラムで理論段数が10,000段以上、250mmでは17,000段以上の理論段数も出ていましたし、ピークの対称性も非常によくて、非常に精度の高い分析が可能だったと思います。

―ありがとうございます。150mmで10,000段以上、250mmで17,000段とおっしゃったのは、実際の生薬中の成分でのお話ですか?

 これは標準品です。日本薬局方フォーラムの試験方法が標準品での理論段数を規定しているので。

―実際のサンプル中ではいかがでしたか?

 インジェクションの量にもよりますが、20μLのインジェクションで7,000段ぐらいだったと思います。

―150mmのほうですか?

 そうです。これは10μLインジェクションでも分析は可能なので、そうすると、やはりもう少し高くなると思います。

―10μLでも可能というお話ですが、そういったインジェクション量は薬局方から変更して問題はないですか?

 バリデーションさえとれれば問題はないと思います。

―もともとの薬局方の原案になっているカラムが、粒子径5μmの4.6×250mmだったかと思います。弊社のXBridge Amideは3.5μmですが、粒子径に関しての変更は問題ないですか?

 粒子径に関しては、日本薬局方の一般試験法「液体クロマトグラフィー」の項に粒子径やカラム長さ、カラム内径といったものについては許容範囲内で変更できることも明記されているのでシステムの適合性が保てる範囲でカラムを自由に選べることになります。

―ということですと、今回、弊社の粒子径3.5μmのカラムに変更しても問題なくご使用いただいているということですか?

 そうです。

―先ほど、使った結果が良好だったというお話をいただきましたが、特にどこがいいというような特徴がもしあれば教えてください。

 まず充塡剤の粒子径が3.5μmということもあって、理論段数が非常に高いというところが一番の魅力だと思います。粒子径が小さい割にはカラムの圧もさほど高くならないので、非常に使い勝手がいいと思います。あとは、150mmカラムの分析ですと、使用する移動相の溶媒の量が少なくてすむということもありますので、非常に財布にも環境にもやさしいカラムだと思います。

―ありがとうございます。ちょうど1年ぐらい前にはアセトニトリル不足の問題ですごく大変な時期がありましたね。今はそこまでではないかと思いますが、やはり溶媒量は気にされていらっしゃいますか?

 結構気にしています。

―そういった面では今回のXBridge Amideは非常によかったということですか?

 そうですね。

―ありがとうございます。研究段階はもちろんですが、さらに品質管理のようなずっと同じ分析を繰り返さなければいけないところに向いているということでしょうか。

 そうですね、非常にいいカラムだと思います。

―ありがとうございます。品質管理の方で粒子径5μmしかお使いになられていない方ですと、3.5μmだと圧が上がってしまうとか、目詰まりを起こしやすいんじゃないかといったご心配をされる方もいます。先ほど、使用に関してはあまり圧力が上がらないというお話でしたが、サンプルを続けて分析されていて、圧力の上がり具合とか、使用しているうちに目詰まりを起こすといったご心配を感じられたことはありましたか?

 今回の分析条件では圧力もそんなに上がらず、目詰まりについても、通常、分析する時は必ずSepPakで前処理してその後必ずフィルターを通してやっていますので、不溶物が詰まるとかそういうことはまず考えられないです。

―そうですか。では、全く圧力に関しては問題ないですか?

 全然気にならないです。

―そうですか。使用開始されてそれほど長くはないですが耐久性についてはいかがですか?

 耐久性に関しては使いはじめて間もないということもあるので、まだ検討はできていませんが、そもそもXBridgeのシリーズは基材の耐久性が非常に優れていてUPLC用の充塡剤としての使用実績もあるということですし、アメリカの薬局方、USPにも収載されている充塡剤だということをお聞きしていますので、そのへんに関しても信頼性の高いカラムだと思って使っています。

―ありがとうございます。また今後使い続けていただいてどんな感じか教えていただければと思います。先ほど、アミドカラムを今回のGinsenoside Rb1で初めて使われたという話でしたが、今後、生薬の分析においてアミドカラムが使われていく可能性というのはどうでしょうか?

生薬分析に関しては、現在ではC18カラムが主流です。でも、生薬成分の中にはC18で保持できない成分も多くあり、また他の挾雑物との分離の問題もあって、順相系のカラムを使わざるを得ないところがあります。順相系カラムとしてはアミノカラムが一般的だと思いますが、生薬成分の中にはアミノカラムを劣化させてしまうアルデヒド系の成分が多く含まれるので、生薬の分析には使いづらい面がありました。でも、アミドカラムについては、構造的にそれらの成分への耐久性もあり、それでいてアミノカラムと同じようなパターンでの分離が得られますので、これからは生薬の分析でも幅広く使われるようになるのではないかと思います。

―XBridge Amide以外にもLC装置など弊社の製品をお使いいただいていると思いますが、使い勝手はいかがでしょうか?

 装置自体はAllianceの2695とPhoto Diode Aalleyの2996の装置を使っていまして、ソフトウエアはEmpowerを使用しています。Allianceに関しては、低圧グラジエントシステムの4液混合が可能なので、つまり、4種類の溶媒で複雑なグラジェント設定ができるというところが一番いい点ではないかと思います。

―そういった複雑なグラジエントを組まれることはありますか?

 3溶媒でのグラジエントはたまに使うことがありますが、水、アセトニトリル、メタノールの3種類を混合する時にも便利ですし、普段どういうふうに使っているかというと、水とアセトニトリルとメタノールの3本を挿しっぱなしにしていて、あらかじめミックスして使うというのではなく、機械の中で混合して、なるべく無駄がないようにやっています。

―そういったところで使い勝手が・・・。

 そうですね。使い勝手がいいです。

―ありがとうございます。

 あとは、Diode Alleyは全波長同時に分析できるので、例えば、吸収波長が異なる成分を同時に分析したい時には非常に使いやすい装置だと思います。あとは、漢方製剤の分野では、3Dのフィンガープリントが品質評価の指標になることが多いのですが、そういった分析もできますので、多くの成分から構成されている生薬・漢方製剤の分析には最適な装置だと思います。
Empowerについては、操作性も非常にいいですし、僕が一番ありがたいと思っているのは、解析画面から直接クロマトグラムをコピーして、ワードやエクセルに貼り付けることができるので、自由度が高くて報告書の作成も非常に楽にできるので、そういった使い方をよくしています。

―ありがとうございます。現在C18を主にアミドなどのカラムを使われていらっしゃいますが、今後こういったカラムがあったら便利だとか、こういったものが開発されるといいなというのはございますか?

 今までにない本当に新しい充塡剤があれば使ってみたいですし、シリカゲルベースの充塡剤がほとんどなので、移動相のpHとかが、使える範囲が限られているので、XBridgeのようにアルカリ溶媒でも使えるようなカラムが一般的になってくると分析の幅も広がってくるのではないかと思います。

―先日お邪魔させていただいた時に、局方の分析とは別に、加茂様ご自身のご研究としてXBridgeのC18でアルカリ側の移動相を用いて測定すると興味深いデータが出ているというお話をうかがいましたが・・・。

 もともとGinsenoside Rb1の分析がC18の固相抽出を用いてアルカリで洗浄して酸性物質を先に取り除いてから分析するという方法ですが、結構面倒くさがりなもので、前処理も面倒くさいなと思って。だったら、1本のC18カラムを用いてアルカリ性の移動相で流してしまえばうまくいくんじゃないかと思ってやってみたんです。

―結構うまく分離できましたか?

 その時はC18の25センチを使ってやりましたが、物によってですが、できるものとできないものはやはりあります。

―XBridgeのようなカラムがより一般的になってくると、アルカリ側の分析法開発も検討されるようになると思いますか?

 そうですね。ほかの成分についても、移動相をアルカリにできるというのは、今までにないことなので、そういったところがこれからできたら面白いかなとは考えています。あとは要望に関してですが、例えば、合成医薬品については実際に分析したデータベースっていろいろあると思うんですけれども、そういったものの生薬・漢方の分野のデータというのがあまりないですよね。そういうデータがもっと充実してくるとカラムの選択とか非常に楽になるので。例えば、ウォーターズさんでもXBridgeシリーズのほかにもAtlantis T3SunFireと何種類も出していらっしゃるので、それぞれのカラムがどういった特徴があるのかというデータは出ているんですけれども、日本薬局方に収載されているような生薬の分析で実際に使用した時にどの分析にはどれがいいというデータの比較みたいなのがあると非常に助かるなと思います。

―そうですね。日本だけでなくアジアにも弊社のお客さまはいらっしゃいますので、生薬の分析をされるところも多いと思います。今後さらに日本やアジアからUS本社にリクエストを入れて生薬に関してのデータも増やしていければと考えています。ウォーターズはカラムだけではなく前処理から分析装置まですべて扱っている会社ですが、ウォーターズに対して何かこんなことをしてもらえるといいなとか、将来的にこんなことができるといいなというのはございますか。

 最近では、UPLCだったり、LC/MSとかLC/MS/MSとか新しいほうがクローズアップされていて、そっちのほうで新しい製品がぼんぼんできたりとかするんですけれども、やはり今でもまだ多くのメーカーさんがUV検出器のHPLCを使用されているので、そちらの方で新しく何か、性能のいいHPLC用のカラムなど発売していただけるとありがたいかなと思います。

―弊社で先日ACQUITY UPLC H-Classという装置を新しく発売して、メール等でご紹介させていただいているのですが、そのご連絡はいっておりますか?

 ウォーターズメールの中のですか?来ていたと思います。

―そちら(H-Class)は、UPLCのパフォーマンスとHPLCの使いやすさを兼ね備えたLC装置ということで加茂様がおっしゃられたようなユーザー様に向けて開発されています。

 今度カタログとかあれば。

―今度ぜひご覧いただければと思います。あとカラムについてですが、HPLCのカラムも皆さん使われていますので、UPLC用だけでなくHPLC用のカラムも今後も新しく開発していきます。また今後ご紹介できればいいなと思います。最後に御社のPRをお願いいたします。

 イスクラ産業はロシア・CIS諸国及び中国との化学品・医薬品・医療器械の貿易を手掛けるとともに、生薬製剤・漢方製剤の製造販売を行う企業です。ロシアには「燃え上がる火焔も一点の火花から」という諺があり、また、中国には「星火燎原(きらめく星ほどの小さな炎が、野原を焼く)」という言葉があります。はじめは小さくても、やがては大きく育ちたいという願いが込められ、ロシア語で「火花」を表す「イスクラ/Iskra」が社名となっています。私の所属する開発一課では、新製品の研究・開発のほか、既存の製品についても新しい技術を積極的に取り入れ、品質管理の基礎となる試験法がより高精度で、信頼性の高い方法となるよう、日々検討を重ねています。
弊社製品を取り扱って頂いている薬局・薬店の先生方や、服用していただくお客様に、安心して弊社製品を使用していただくため、常に品質管理の質を向上させていく事をモットーに業務に取り組んでいます。

―本日はありがとうございました。


担当者コメント:
HILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)を用いた分析・研究はここ数年で急激に増加しています。今回はHILICモードのカラムの1つであるXBridge Amideカラムを漢方製剤中のGinsenoside Rb1(ニンジン中成分)の分析にご活用頂いているお話しを伺うことができました。
ウォーターズはHILICモードのカラムの開発や関連アプリケーション情報の提供に力を入れています。今後もセミナー等でお客様に有用な情報をご提供できるように頑張っていきたいと思います。

 


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