【日本国内編】 お客様事例

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北陸先端科学技術大学院大学様

Users Voice お客様活用事例トピックス

北陸先端科学技術大学院大学
マテリアルサイエンス研究科
准教授 藤本健造様にお話を伺いました。




―本日はよろしくお願いします。

よろしくお願いいたします。

―最初に先生のお仕事内容を教えていただけますか?

 一言で言うと、酵素を使わずに“光”というものを使ってRNAやDNAを操作する新しい手法を研究しています。

―光ですか?

 はい。“光”というのは身近にありますが、その身近にあるもので新しい可能性を提供できればと考えています。

―最近、特許を出願されたと聞いておりますが、それはどのような内容ですか?

 簡単にいうと、“光“を当てることでRNAやDNAを1本鎖にしたり、2本鎖の状態にしたり可逆的にコントロールする技術です。通常は結合強度の弱い水素結合ですが、今回の特許ではある波長の”光”で1秒程照射させることで共有結合による安定な2本鎖を作成できます。別の波長の”光“を30秒程度あてるだけで再び1本鎖に戻すことができます。光量はLED程度で大丈夫です。光でON/OFFが出来る技術です。

―面白いですね。元々はどのような目的を想定されたのですか?

 特定のオリゴヌクレオチドを選択的に回収するための方法について研究を行っていました。通常はオリゴプローブのアフィニティー反応を用いますが、この技術なら目的のDNA・RNAだけを高収量で回収でき、新しいゲノム精製などで使えるのではと思いまして。

―なるほど。現状ではどのような応用分野が考えられますか?

 一番はバイオ医薬品の開発や医療への応用です。最近バイオ医薬開発は世界的に急速に発展しています。その中のターゲットとして核酸医薬があります。代表的なものとしてRNA製剤があげられます。その有効性は認められながらも、分解されやすいためDDS(ドラッグデリバリーシステム)の更なる開発や検証が必要と聞いています。

―なるほど。最近の製薬企業買収のニュースでは殆どがバイオ医薬に関連する企業、バイオ医薬品開発に注目が集まっていますね。その中でも特にRNAを用いた治療薬の開発は注目を浴びていますね。

 はい。実は今回の特許を用いると非常に面白いことができるかもしれません。

―少し具体的にお話いただけますか?

 まだイメージの段階ですが、たとえば、“光”により加工した安定な2本鎖RNA(=Drug)を暗室下で安眠中の患者に投与します。共有結合で安定な2本鎖RNAは体内をめぐります。数時間経過した後、患部周辺にだけある波長の“光”を照射させることで1本鎖にし、局所的に集中してRNA interference(RNA干渉)を実施し、生体中で問題となるタンパク質の合成を阻害することができるかもしれません。

―すごいですね。

 治療終了後は暗室から一歩外に出ていただければ、太陽の光で全ての2本鎖RNAは不安定な1本鎖になり、体内の酵素によって早期に分解されます。もちろん、副作用などの検証が必要ですが、この“光”を使う技術はRNA製剤におけるDDSの問題を解決する革新的で非常に面白い技術だと考えています。

―実際、先生のご研究でどれくらいの塩基長 (mer)まで確認されていますか?

 研究室内のデータですが、20~100 mer程度まで既に実証済みです。

―なるほど。siRNAとして一般に用いられる20 mer程度から特異性が見込める60-70mer程度まで広くカバーできることになりますね。

 そうですね。

―抗体医薬をはじめとしたタンパク製剤は一般にサイズが大きい為、細胞内に導入されることが難しいと聞いたことがあります。結果的に表面に吸着できるような腫瘍がターゲットになります。siRNAは比較的小さなサイズですので、細胞内導入の可能性もあり、ターゲットも広がります。しかも身近な“光”で制御できるのは非常に面白いですね。

 特にメスを入れにくい部位、たとえば脳などの治療もいいですね。身近にある“光”で治療ができる新しい時代がくるかもしれません。

―既にどこかの企業や研究機関と共同研究をされていますか?

 最近企業からお話を頂くようになりましたが、まだ世の中に貢献できる余地があると思います。ご興味のある企業の方は是非ご連絡頂ければと思います。

―ところで、今回の特許出願にUPLC が活躍したとお聞きしております。

 はい。実は2つの特許を申請しました。ついでに論文1つも。

―すごいですね。何日くらいかかりましたか?

 UPLC 1台でたった4日間でした。

―4日ですか!?

そ うです。4日で全てデータは取得できました。

―全てですか!?

 はい。特許でも論文でも、今回の技術は配列の長さや順番による影響を受けない、つまり様々なオリゴヌクレオチドでも再現する(一般性がある)という証明が必要です。「十分な証明=十分なN数」となります。具体的に私達が取り扱うケースとしてですが、HPLCでは1回の分析に50分かかります。もし100パターンの配列をHPLCで測定し、再現確認をしていたら1年かかります。UPLC なら1回の分析がたった5分ですから。すごいですよ。すぐ終わりました。

―スペックどおりでしたね。

 うそじゃなかったですよ(笑)それ以上にHPLCで見えなかったピークも見えてきました。感度も含め、高い正確性・再現性に非常に満足しています。

―実際UPLC をご導入されてから、特許出願までどれくらいかかりましたか?

 導入してからデータ取得終了まで3週間程度でした。

―3週間ですか!?

 特許化までは3カ月弱でした。

―3ヶ月ですか!?

 トレーニングも含めてウォーターズさんにご協力頂いて、すぐに使いこ なすことができました。

―UPLC は安定していて使いやすい装置ですが、すごいバイタリティーですね。

 いえいえ。(笑)

―論文を一読されたい方もいると思います。論文をご紹介いただけますか?

 はい。こちらです。新しい技術に関する論文投稿ではどれだけ信頼できるデータを取っているかをレビューアーがチェックします。実際、コメントのところに「非常にきれいなデータで、きっちり議論している」という高評価を頂きました。今回の論文は、UPLC を用いた事で十分な証明ができ、一般性を議論できたことに尽きると考えています。そういう意味で非常に有力なツールだったと実感しています。

―最先端研究だからこそ問われる正確性・確実性を証明したという点ですね。

 はい。そのとおりです。

―最初、どのようにしてUPLC をお知りになられましたか?

 日ごろから来て頂いている販売店さんからの紹介でした。従来のHPLCより圧倒的にすごいLCが出たという話でした。その後すぐにウォーターズの営業さんに来ていただきました。

―もし販売店さんが来ていなかったらどうでしたか?

 知らなかったでしょうね。私のように縁あって非常に良い装置に出会えましたが、知らないまま苦労されている方もたくさんいると思います。

―ご導入頂いたきっかけはUPLC 大学プログラムでしたね。

 はい。導入時にはウォーターズさんにも販売店さんにもがんばって頂きました(笑)。

―実際に導入前に試されましたか?

はい。分離を主に検討して満足して購入しました。導入後に高速分析を検討しました。事前に聞いていたパフォーマンスどおりで非常に満足しています。

―良い所ばかりでどうかと思いますので、正直なところUPLC にご不満や改良して欲しい点があれば、是非お聞かせいただけますか?

今のところ壊れてもいませんし(笑)、基本的に満足しています。ただ唯一LCなのでバイアルに残るデットボリュームがありますね。数μLですが、その部分がちょっともったいないといえばもったいないと(笑)その程度ぐらいですね。

―なるほど。なかなか難しいところですが(笑)。

―今後のご活動についてお伺いいたします。今後、UPLC を使って行っていきたい研究テーマがあれば、可能な範囲で結構です。お教えいただけますか?

色々あります。一言でいえば、HPLCではやる前にあきらめていたことも、UPLC なら出来ます。非常にスクリーニングに向いている装置だと思います。UPLC 解析を通して今まで見逃していた情報も参考にしながら世の中に役立つ技術を生み出して生きたいと思います。

―年々、UPLC 対応のカラムや検出器も増えています。その可能性は広がりますね。

北陸先端科学技術大学院大大学は、日本初の国立の大学院大学です。学部にとらわれずに大学院から新しいことに挑戦する学生さんたちと一緒に研究をしております。チャレンジというのをキーワードに頑張れる教育研究機関です。興味ある皆さん、是非お越しください。

―本日は、ありがとうございました。

 


藤本先生、本日はありがとうございました。

担当者コメント:
非常にバイタリティーあふれる先生でした。熱意があれば、一台のUPLC が世界を変える事を教えていただきました。siRNAをはじめとした核酸医薬に興味ある企業・研究機関の方は一度お話を伺ってみてはいかがでしょうか?

今回取材にご協力頂いた 藤本先生研究室ホームページはこちら


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