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分析法のスケールアップ

成分の潜在的価値が早い段階で実証されている場合、その成分をさらに評価するため、分離法をスケールアップし、大量に精製することができます。分離能などの小スケール分離における特性は大スケールへも簡単に移行できます。規定の計算式を用いて分離を高容量カラムへと効果的に移行するには、流量、サンプル負荷量およびシステムハードウェアを変更することが必須です。

スケールアップの第一段階では通常、初期の生物学的評価から治療効果の高い医薬品アナログに関する構造活性関係の確立までのさまざまな用途のために成分をミリグラムからグラムオーダーの量で精製します。その後のスケールアップの段階では、前臨床や臨床開発のため100グラムから数キログラムを上回る量を精製し、それが成功すれば最終的には大規模な製造となります。このスケールでは、文書化や医薬品適正製造基準(cGMP)などの文書および品質管理が関与してきます¹。

 

精製スケール

ターゲット量

一般的なアプリケーション

 

分析、微量精製

 

µg


小スケールの創薬研究で使用される酵素や化合物の単離

 

セミ分取

 

mg


小スケールの生物学的試験
代謝物の構造解析および
特性解析

分取

g

分析用標準物質
毒性スカウティング試験

製造

kg

工業規模の医薬品や
活性化合物の製造

 

表3. クロマトグラフィースケール、ターゲット量および関連アプリケーション



スケールアップのワークフローは段階的プロセスです。スケールアップ計算は正確に実施しな ければなりません。正確でなければ、小スケール分離では得られていた分離能が最終結果では 得られない可能性があります。分析法スケールアップの成功率を高め、保持時間および選択性 を維持するには、いくつかの要件を綿密に検討する必要があります:

  • 小スケールと大スケールでは同一の移動相が使用されていなければなりません。
  • 同一のカラムケミストリー、長さおよび粒子径を持つカラムではスケールアップが簡単に なります(その他の方法として、最初の分析法のカラム長と粒子径の比 L/dp が維持されて いる場合は粒子径を変えることができます。)
  • サンプルは同じ濃度、同じ希釈液で調製されなければなりません。


図18. スケールアップワークフロー



デュエルボリュームの決定

デュエルボリューム(遅延容量、システム容量)は、スケールアップやシステム変更の際に初期溶出ピークの分離能を保つために重要です。グラジエント組成点からカラムの入口までの容量として定義されます。高圧混合LCシステムの場合、デュエルボリュームは主にミキサー、接続チューブおよびオートサンプラーループで構成されます。低圧混合システムでは、溶媒がポンプの前で混合されるため、追加のチューブとポンプヘッド(1つまたは複数)およびミキサー、接続チューブおよびオートサンプラーループの容量が全体的なデュエルボリュームに寄与します。


図19. デュエルボリュームに影響を及ぼすシステムのコンポーネント(点線で囲まれた部分)



移動相成分がアイソクラティック分離であり、オンラインで混合される場合でもデュエルボリュームは存在していますが、移動相組成が一定であるため、クロマトグラフィーで観察される変化はありません。一方、グラジエント法はピークを分離するために経時的な移動相組成を変化させます。グラジエント法におけるデュエルボリュームの補正により、確実にピーク保持時間が維持されます。これはフラクションを分取することが目的の場合に特に重要です。

デュエルボリュームを決定するには、移動相Aおよび異なるUV吸収を持つ添加剤(例えば、0.05mg/mLウラシル、または0.2%アセトン/アセトニトリル溶液)を含む移動相B溶媒のステップグラジエントを、「分析→分取グラジエントカリキュレーター」(www.waters.com/prepcalculator)でご紹介している方法に従って使用します。

 

  1. カラムを取り外す。
  2. 移動相Aとしてアセトニトリルを、移動相Bとして添加剤(0.05mg/mLウラシルまたは0.2%アセトン)を含むアセトニトリルを使用する。
  3. UV検出器を254nmに設定する。
  4. デュエルボリュームを2回計算する(つまり、元の装置での流量と、目的の装置での目的の流量におけるデュエルボリュームを計算する。)
  5. 100%Aで5分間ベースラインのデータを取る。
  6. 5分後に100%Bへのステップ変更をプログラムし、さらに5分間データを取る。
  7. 100%Aと100%Bとの間の吸光度の差を測定する。
  8. その吸光度差の50%になる時間を測定する。
  9. ステップ開始と50%時点との時間差を算出する。
  10. 時間差と流量の掛け算する。

表4. デュエルボリューム決定の手順



ロードキャパシティ

分取クロマトグラフィーでは、分取の対象とする化合物の十分な分離を維持することが第一の 目的です。ロードキャパシティ(負荷量)は、目的化合物と近隣ピークとの分離に基づいて評 価されます。ロードキャパシティは主にカラム長およびカラム内径に影響されますが、溶解度 やサンプル混合物の複雑性などのその他の因子も寄与します。ロードキャパシティの傾向は以 下のようになります:

  • ロードキャパシティは主に特定のサンプルの溶解度に依存します。
  • 単純な混合物の場合、ロードキャパシティは高くなります。
  • 高い分離能が求められる場合、ロードキャパシティは低くなります。
  • ロードキャパシティは負荷条件に依存します。

 

内径(mm)

長さ(mm)

4.6

10

19

30

50

50

3

15

45

110

310

75

165

100

5

25

90

225

620

150

8

40

135

335

930

250

13

60

225

560

1550

 

 

 

 

 

 

適切な流量
(mL/min)


1.4


6.6


24


60


164

適切な注入量
(µL)


20


100


350


880


2450

 

表5. 一般的な分取カラムサイズに対する推定負荷量(mg)
例:4.6×50mmカラムの場合、予想負荷量は20µL注入あたり3mgです。

 

特定の目的化合物に対するロードキャパシティは、分析法スケールアップの前に負荷量試験により決定します。この負荷量試験はサンプルを高濃度で調製し、注入量を徐々に増加させる方法、またはサンプルを複数濃度で調製し、注入量を一定に保つ方法のいずれかで実行します。どちらの方法でも、目的化合物と周囲の不純物の十分な分離が維持される最大濃度または最大注入量を決定することが目標です。ロードキャパシティが決定したら、直径の大きなカラムと大スケールのワークフローのための計算式を使ってスケールアップできます。


図21. 負荷量試験。*印の付いたピークに関して負荷量が増加すると分離能が低下することを確認できます。

 

 

At-Column-Dilution

DMSOなどの強溶媒はサンプル溶解度を改善し、ロードキャパシティを潜在的に増大させることができます。しかし、強溶媒を大量に注入し過ぎるとクロマトグラフィーにひずみが発生し、単離できる化合物量が増加するどころか減少してしまいます。

ひずみは、強溶媒が水性溶媒の流れに挟まれた「プラグ(塊)」としてインジェクターからカラムヘッドへと運ばれると発生します。サンプルの析出は、サンプル強溶媒が水系溶媒で希釈される塊の両端で発生します。この析出により、流路が閉塞するため、圧力超過によりシステムが停止することがあります。


図22. カラム内における移動相によるサンプル塊の希釈。析出は、サンプルが強溶媒で調製された場合にサンプル塊が水系移動相を含むカラムを移動する際にその両端で発生する可能性があります。



析出がシステム停止を引き起こさない場合、サンプルはカラムに入りますが、サンプル塊が移動相で希釈されるまで保持されません。大量注入では、この塊をカラム内で十分な距離移動させないとサンプルを希釈するのに必要な容量が得られません。そのような場合、サンプルはカラムボリュームの大部分を占める幅の広いバンドとなります。その結果、ピークが拡散してしまい、ピークを完全に分離することができません。このような状況は、注入するサンプルの容量と質量の両方を制限することで減らすことができます。代わりの手段としては、サンプルを水や弱溶媒で十分に希釈して十分な保持を確保することです。


図23. 従来の強溶媒中サンプル注入アプローチ。サンプル塊はカラム内を移動しながら希釈されるため、ピークのひずみが生じます。



スループットおよび回収率が低下するため、どちらのアプローチも完全に満足できるものではありません。その他の方法として、At-Column-Dilutionシステムでは、サンプル塊がカラム入口まで運ばれ、水系希釈液で連続的に希釈されるようにシステムが再構成されます。カラムへの移動速度が非常に速いため、析出は起きません。次にサンプル分子は十分に分離可能な体積の小さいピークとして溶出できる非常に狭いバンドとして充塡剤に吸着されます。サンプルはループやカラムヘッドではほとんど析出しないため、At-Column-Dilutionによりシステムの堅牢性が改善します。サンプル成分のピーク間の分離が改善することで、サンプル量を増やすことができ、それにより単離に必要な注入回数を少なくすることができます。実際、At-Column-Dilutionでは多くの場合、カラム負荷量を3倍から5倍に増やすことが可能です。圧力超過によるシステム停止の発生率が低下し、カラム寿命が延びます。


図24. At-Column-Dilutionシステム。サンプル塊はカラム入口まで運ばれ、そこで水系希釈液により連続的に 希釈されるため、析出は起きません。サンプルバンドは十分に分離された体積の小さなピークとして溶出します6

 


図25. 従来の注入およびAt-Column-Dilutionによる注入を用いた場合の強溶媒に溶解したサンプルの比較。カラムに133mg/1000µLを注入³。



流量のスケールアップ

スケールアップにおいて分離をうまく維持するためには、小スケールと大スケールのカラムの間で線速度が必ず一定に保たれていなければいけません。そのため、流量のスケールアップには長さ、粒子径および充塡剤が同じであることが最も効果的です。流量をスケールアップする際には、最大ポンプ流量や背圧限界などシステムのハードウェア機能を必ず考慮に入れなければなりません。ハードウェアが流量要件を満たさない場合、そのスケールに合わせるために適切な装置の変更を検討する必要があります。

式12: 流量のスケールアップ

例えば、分析カラム(5µm、4.6mmx50mm)の流量が1.5mL/minの場合、分取カラム(5µm、19mmx50mm)での流量は以下のように算出されます:



グラジエント時間のスケールアップ

通常、移動相の線速度を維持するために流量を調整する場合、スケールアップにおけるグラジエント変更は不要です。しかし、カラム長が異なる場合、小スケールで得られた分離と保持時間を維持するためグラジエント時間を必ず計算しなければなりません。

式13: グラジエント時間のスケールアップ

例えば、50mmの分析カラムにおける5分間のリニアグラジエントセグメントは、100mmの分取カラムでは10分間になります:



分取カリキュレーター

質量、流量およびグラジエントのスケールアップ計算は、分取OBDカラムカリキュレーターでも実施できます。このカリキュレーターは、サンプルチャージ量、システム容量、流量、溶媒消費量、質量分析計を用いるクロマトグラフィーのスプリットフロー比、およびUPLC法を含めた分析から分取へのフォーカスグラジエントなどすべてのスケールアップ計算から分取法移管までにおいて役立つ使いやすいアプリケーションです。このアプリケーションはwww.waters.com/prepcalculatorからアクセスするか、ChromScope™などウォーターズの分取用ソフトウェアから使用することができます。


図26. ウォーターズの分取OBDカラムカリキュレーター(www.waters.com/prepcalculator にて使用可能)

 


図27. 分析→分取グラジエントカリキュレーターが 分析スケールの分離に基づいて分取条件を決定



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