ビギナーズガイド コンバージェンスクロマトグラフィー

コンバージェンスクロマトグラフィーの紹介

コンバージェンスクロマトグラフィーの開発

コンバージェンスクロマトグラフィー(CC)は、圧力が大気圧の100~400倍の圧縮CO2をクロマトグラフィー移動相の主溶媒として使用する分離技術です。ほとんどの場合、CO2には移動相の極性を変化させるための共溶媒(メタノール、エタノール、2-プロパノール、アセトニトリルなど)が混合されています。これは逆相液体クロマトグラフィー(逆相LC)で移動相の極性を調節するために水に共溶媒を添加するのと同様です。最新の超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を知っていれば、すぐにCCとSFCの類似性に気づくでしょう。実際、CCは最新のSFCの改名版なのです。その意味を理解するには、SFCの開発の歴史を振り返る必要がありますので、説明していきます。

SFCは、ガスクロマトグラフィー(GC)の能力を拡大するために超臨界条件下の溶媒を使用するクロマトグラフィー技術として開発されました。高温でしか溶出されないにも関わらず、その溶出温度では熱分解してしまう化合物を分析するという問題を解決するため、Klesperら1はGCを高圧で用いることにより高温という要件を補いました。超臨界条件は、(a)高圧ガスの溶媒和力を得るため、そして(b)圧力や温度を変化させることで移動相が単一溶媒として流れなくなる(気液相分離を受ける)という状態を回避するために選ばれました。その後、溶媒密度を変化させることでも溶媒強度を調節できることが分かりました。これは超臨界条件で分析を行う際の一番のメリットです。流体は超臨界条件下では高圧で圧縮されているため、圧力の小さな変化であっても溶媒強度、そして分析種の保持を大きく変化させます。実際、圧力を変化させることで溶媒グラジエントを形成し、密度を変化させることができるため、グラジエント形成のために共溶媒を混合する必要がなくなります。このような非毒性溶媒を単独で用いる分離モードの可能性は、分析科学者から非常に高い関心を集め、注目されました。

しかしながらこの興奮は長くは続きませんでした。密度の調節は有用な技術ですが、逆相液体クロマトグラフィー(逆相LC)のような他のクロマトグラフィー法で分離可能なさまざまな化合物に対して幅広く適用するには溶媒極性の調節が十分ではないかもしれないことが徐々に分かってきたからです。実際、SFCに最適な溶媒として使用されているCO2は、密度を大幅に調節しても非極性溶媒であり続けます。したがって高極性の分析種の分離には、メタノールのような極性溶媒の添加が必要となります。この認識が、SFCの開発の方向性を変化させました。現在においても密度調節のみに依存している重要なアプリケーションは数多くありますが、SFCユーザーはより幅広い分析種の分離を実現するために、逆相LCのように共溶媒と添加剤を混合するようになってきました。

CO2は高極性溶媒(メタノール、エタノール、アセトニトリルなど)と完全に混和するため、共溶媒濃度が非常に高くなる(60%など)溶媒グラジエントが日常的に使用されています。このような使用方法から、移動相の超臨界性に関して幾度となく疑問が浮上しました。高い共溶媒濃度、そしてSFCで一般的に使用されている温度と圧力下では、分析中のほとんどの時間において、移動相は超臨界になっていません。さらに重要なのは、このように超臨界条件から逸脱してもクロマトグラフィーには何の影響もないということです。では、超臨界状態の溶媒に依存しない技術がなぜいまだに「超臨界流体クロマトグラフィー」と呼ばれているのでしょうか? 実際、この最新のSFCには別の名前、例えば亜臨界/超臨界流体クロマトグラフィー、簡易流体クロマトグラフィー、二酸化炭素による分離、または単にその略語であるSFCなどを付けることが提案されてきましたが、いずれの名前も現在の分析ラボにおける幅広い使用方法を十分に表すものではありませんでした。

こうしたアイデンティティに関する混乱に加えて、SFCは本格的な分析装置としての採用を阻む深刻な技術的問題にも直面しました。今までの装置ではCO2 などの圧縮溶媒を、少なくとも最新のHPLCシステムやUPLCシステムと同程度の信頼性と再現性をもって取り扱うことができなかったため、分析法の堅牢性と再現性が不十分だったのです。

このような状況は、2012年にウォーターズが装置問題と命名のジレンマに対処すべくUltra Performanceコンバージェンスクロマトグラフィー(UPC2)(表1を参照)を発表したことにより一変しました。飛躍的に向上した装置の堅牢性(第3章で詳述)、そして過去の技術と区別するための新しい名称により、SFCはついに分析研究における真の選択肢となりました。


図1. ACQUITY UPC2®システム



「コンバージェンス(convergence)」とは?

「コンバージェンス(convergence)」という単語は、ガスクロマトグラフィー(GC)と液体クロマトグラフィー(LC)という既存のクロマトグラフィー法を一つのシステムに「融合(converge)」した技術である、というGiddingsの見解に由来しています。GiddingsはSFCを、LCとGCを連結し、臨界性の境界を超えた移動相の使用を拡大させる技術であると表現しました。現在、コンバージェンスクロマトグラフィーではほとんどの場合、超臨界と亜臨界の両方の状態において共溶媒が使用されており、CO2のみのSFCにあった密度調節の限界を超えて拡大しています。単にGCとLCの間のギャップを埋めるにとどまらず、SFCの可能性は当初想像されていたものをはるかに超えています。

 

 
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