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サンプル導入

サンプル注入はマニュアルで行うことも、ハイスループットアプリケーションでは自動化することもできます。マニュアル注入ではレオダインバルブに接続されたサンプルループをハンドルを回すことで流路から切り離します。ろ過済みサンプルをシリンジで吸い上げ、ブラントニードルチップを装着し、気泡を除去します。ニードルを注入ポートに挿入し、サンプルをループに注入します。レオダインバルブハンドルを回してサンプルループを流路に戻します。この位置にすることでサンプルが流路に注入されます。


図33. マニュアルレオダイン注入バルブコンポーネント



ハイスループットでは、サンプル注入を自動化することもできます。大容量オートサンプラーは、サンプルの吸引と注入を1つのプラットホームで管理できます。ロボットアームは、マイクロタイタープレート、試験管、シンチレーションバイアルまたは従来のオートサンプラーバイアルからのサンプル注入を制御するために、分取用ソフトウェアで設定されます。



注入ループ

通常、注入ループは目的の注入量に基づいて選択されます。ループの容量が大きすぎると、サンプルがループの余分な表面積に吸着して遅延が発生したりサンプル拡散が発生したりする可能性があり、クロマトグラフィーの質に悪影響を与えます。目的の注入量に近いループサイズにより、最高の再現性とクロマトグラフィープロファイルが得られます。



フラクションコレクター

アプリケーションで求められるスループットにより、フラクション分取に必要な自動化レベルが決定されます。フラクションコレクターはスイッチと切替バルブで構成されます。切替バルブは、化合物の溶出時にそれらを分取できるように適時に開きます。

フラクション分取はマニュアルでも、ハイスループットアプリケーションでは自動化することもできます。自動化のレベルは、求められるフラクションの数と量により決定されます。ハイスループットのフラクションコレクターは多くの場合、サンプリング用プローブとフラクション分取用プローブを装着したロボットアームを用いてサンプル注入とフラクション分取を1つのワークテーブル上で実施します。


図34. フラクションコレクター機能とオプションの換気用ドラフトを備えたウォーターズの
2767サンプルマネージャ



分取容器

多くの分取システムは、幅広い分取容器の形状、サイズおよび容量に対応しています。最も一般的な分取容器は、試験管、バイアル、ボトルおよび大きな容器に分注するための漏斗です。分取容器は清潔で乾燥しており、サンプルや溶媒に曝露しても反応しないものでなければなりません。一般的に、成分を分注できるようにするために分取容器は上部が開放された容器回収ベッドに配置されます。

分取されなかったフラクションが共通の廃液には行かず、サンプル別の廃液回収容器に集められるシステムもあります。使用者が間違ったピークを分取したり、不適切な分析法を実行したり、ターゲットを検出できなかったり、トリガーが利かなかったりした場合、個別の廃液回収容器からサンプルを回収し、再注入することができます。



検出器

分取クロマトグラフィーを実施する際には検出を特に検討しなければなりません。LC分取で使用される主な4種類の検出器はUV/Vis、示差屈折率(RI)、エバポレイト光散乱(ELS)、および質量分析(MS)です。

UV/Vis検出器で使用者が設定した単一波長で検出することも、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器により特定の波長範囲にわたる吸光度を測定することもできます。PDAは分析法開発で目的化合物に適した波長を選択するためによく利用されます。200~400nmの間の波長、または可視光範囲で検出する場合にはそれ以上(≥350nm)の波長を測定することで、適切な波長を選択できます。目的化合物で最大のシグナル強度が得られる波長が単離に最適な波長です。近い位置で溶出する不純物の最適波長も決定しなければなりません。異なる波長で観察すると、1つの波長を用いて単離された「高純度成分」に、実際には不純物が含まれる可能性があります。その場合、成分をさらに精製するために2回目の分析法開発と精製が必要になる可能性があります。

UV/Vis検出器およびPDA検出器を使用する場合、分取精製では一般的な大量注入や高濃度サンプルによる高い感度が障害になることがあります。そのため、光路長の長い(10mm)分析用フローセルではなく光路長の短い(1~3mm)検出器フローセルを使用します。


図35. Waters®2998フォトダイオードアレイ (PDA)検出器



RI検出器にはアルコール、糖類、脂肪酸およびポリマーなどUV吸収がわずか、またはUV吸収がない成分の検出でいくつかのメリットがあります。RI検出器は、化合物の存在の有無を決定するために示差屈折率の差を検出します。RI検出器は、化合物のイオン化や発色団の含有に依存しないため「ユニバーサルな」検出器と呼ばれることもあります。RI検出器の弱点は、ベースラインドリフトの原因となるグラジエントによる乱れの検出を回避するため、アイソクラティック分離でしか使用できないことです。


図36. Waters®2414示差屈折率 (RI)検出器器



ELS検出器はUV/Vis検出器やRI検出器の代わりに使用できます。ELS検出器は、分析種を揮発させ、溶媒を蒸発させるために溶出物を加熱ネブライザーに通過させることで検出します。溶媒は気体として排出されますが、分析種は微粒子の流れを形成し、これが光源と検出器の間を通過し、検出器が光を散乱させてその散乱光を測定します。ELS検出器の主なメリットは、発色団を持たない化合物を検出できること、さらにアイソクラティック分離だけでなくグラジエント分離でも使用できることです。ELS検出器の弱点はサンプルを破壊するため、メイン流路中に設置することができないということです。少量がELS検出器へ、残りがフラクションコレクターに向かうようにするために流路は必ず分岐しなければなりません。

MS検出器は、カラムから出てくる分離されたサンプル化合物をその質量に基づいて質量分析します。MSは最も感度が高く選択性の高い検出法の1つであり、分子量、そして分析種を同定するのに非常に重要な分析種のフラグメンテーションパターンに関する情報が得られます。多種多様なインターフェースを搭載したさまざまな種類のMSシステムを利用できます。最も広く使用されているインターフェースはエレクトロスプレーイオン化(ESI)と大気圧化学イオン化(APCI)です。各インターフェースはさまざまな適用性領域、流量、感度、直線性に関連しています。ELS検出器と同じく、MSは破壊法であるため、少量が検出器に、主要部分がフラクションコレクターに向かうようにフローを分岐しなければなりません。


図38. 質量検出器 Waters ACQUITY QDa



フロースプリッタ-

MSやELSなど化学的破壊型検出器では、カラムからの流路の一部を分岐してフラクショントリガリングのために検出器に向かうようにしなければなりません。これらの検出器はフラクションコレクターがトリガーされる前にピークを検出しなければならないため(ディレイタイム)、メインのフローがフラクションコレクターに到達する前に分岐したフローが検出器に到達しなければなりません。そのために「メイクアップポンプ」および「メイクアップ溶媒」を使用して分岐したフローの流速を上昇させます。

フロースプリッターは「パッシブ」または「アクティブ」のどちらでも使用できます。パッシブフロースプリッターとアクティブフロースプリッターはメインのフローのサンプリング効率が同等であるため、使用するスプリッターの種類は使用者の好みによります。

パッシブスプリッターでは、特定の流量範囲とスプリット比を維持するためにディレイコイルや「Tフィッティング」などのリストリクターを使用します。

 


図39. パッシブフロースプリッターボックス

 


図40. パッシブフロースプリッターボックスの流路図

 

パーツ番号

流量範囲(mL/min)

スプリット比

対象カラム内径

205000435

0.5–2.0

15:1

4 mm

205000436

2.0–8.0

100:1

10 mm

205000437

8.0–30

1,000:1

19 mm

205000438

8.0–30

5,000:1

19 mm

205000439

30–100

5,000:1

30 mm

205000440

100–150

10,000:1

50 mm

 

表6. ウォーターズが提供するパッシブフロースプリッターのオプション



アクティブフロースプリッターは、2つの完全に独立した流路およびメインフローの一部をプログ ラムされたスプリット比で希釈されるメイクアップフローへと送る高速切替バルブを持ちます。



チューブ

流路に適切なチューブを決定する際、必ず検討しなければならない点がいくつかあります。まず、システムと流路チューブのインテグリティは、チューブ材質の適合性およびアプリケーションに大きく左右されます。チューブはPEEK製またはステンレス製のいずれかで、サンプルがチューブ表面に吸着してサンプル喪失、収率の低下、またはキャリーオーバを引き起こすのを防ぐためサンプルおよび移動相と化学的適合性があるものでなければなりません。

また、システムチューブは流路の圧力および動作温度に耐えられるものでなければなりませんが、分取クロマトグラフィーでは多くの場合、流路の温度管理は実施されていないため重要な問題ではありません。

圧力限界を検討する際、分取クロマトグラフィーシステムは3つのゾーンに分けることができます。溶媒リザーバとポンプの間の「低圧」ゾーン、ポンプとカラム入口の間の「高圧」ゾーン、そして、カラムの出口と検出器下流の廃液リザーバまたはフラクションコレクターの間の第2の「低圧」ゾーンです。各ゾーンのチューブには、特有の圧力保持要件があります。重要な要件のある圧力ゾーンで不適切なチューブ材質を選択すると、性能の低下やクロマトグラフィーの問題だけでなく、漏れや破裂の恐れもあります。

チューブ内径およびチューブ長という2つの変数を必ず検討しなければなりません。一般的に内径が小さいほど内部速度が速くなりサンプル拡散が抑えられるため、サンプルは可能な限り濃縮した状態を保つことができます。ただし、チューブ内径が小さくなるとチューブから発生する圧力が大幅に高まり、検出器フローセルやその他のシステムコンポーネントが対応できないシステム背圧となる可能性があります。異なる内径のチューブを接続すると、連結部または連結部付近でデッドボリュームが発生します。このデッドボリュームは、流体(移動相)により十分スイープされないため、ピーク形状の問題やキャリーオーバの原因となります。

チューブの長さを検討する際、流路の容量が大きいほど、サンプルが移動相中で希釈され、分離された成分がまた一緒になってしまう確率が高まります。チューブの長さもシステム圧、遅延容量、およびカラム外ボリュームに寄与します。これらの問題を防ぐため、チューブの長さは機能を損なわない、可能な限り短いものでなければなりません。

大スケールの分取システムは通常、高流量で使用します。流量が原因の背圧を軽減するには、分取システムを適切な内径のチューブと接続して高品質のクロマトグラフィー結果が得られるようにすることが重要です。0.05mL/minから130mL/minの流量に対応するさまざまなチューブ内径が提供されています。

 

内径r

流量(mL/min)

µL/ft

耐圧(psi)

耐圧(bar)

0.0025"

ナチュラル

0.05–0.2

0.9

7000

483

0.005"

0.2–0.5

3.5

7000

483

0.007"

0.5–1.5

8

7000

483

0.010"

1.0–10

13

7000

483

0.020"

オレンジ

10–30

50

7000

483

0.030"

30–65

140

7000

483

0.040"

65–130*

250

5000

344

* この流量範囲では、ステンレス製のチューブを推奨します。
室温にて水を使用して測定した圧力

 

表7. チューブ内径および適切な流量(mL/min)。「色」はPEEKポリマーチューブ用です。



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