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ACQUITY™ Premier 固定ループシステムと ACQUITY UPLC™ I-Class PLUS 固定ループシステムの性能比較

ACQUITY™ Premier 固定ループシステムと ACQUITY UPLC™ I-Class PLUS 固定ループシステムの性能比較

  • Norris Wong
  • Andrew Steere
  • Jennifer Simeone
  • Jason Dyke
  • Waters Corporation

要約

ACQUITY Premier 固定ループ(FL)システムは、性能を改善させるために MaxPeak™ High Performance Surfaces(HPS)テクノロジーを FL インジェクターに組み込んだ、超高速液体クロマトグラフ(UPLC)システムです。ACQUITY Premier FL システムは、ステンレススチール製 ACQUITY UPLC および ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システムを置き換えるものとして位置付けられています。本研究では、ACQUITY Premier FL および ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システムでのピークテーリング、ピーク高さ、面積再現性、保持時間の精度などの主要な性能特性を使用して行った、金属に吸着しやすい化合物および金属に吸着しにくい化合物についてのクロマトグラフィー性能の評価を紹介します。ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システムと比較して、ACQUITY Premier FL システムでは、金属に吸着しやすい分析種について性能が向上しており、金属に吸着しにくい分析種について同等の性能が示されています。

アプリケーションのメリット

  • MaxPeak High Performance Surfaces(HPS)テクノロジーを採用した ACQUITY Premier 固定ループ(FL)システムにより、LC 流路での金属との相互作用が低減
  • ACQUITY Premier FL システムでは、金属に吸着しやすい分析種について、ピーク形状とピーク面積の再現性が改善されている
  • ACQUITY Premier FL システムは、金属に吸着しにくいターゲット化合物に対して ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL と同等の性能を示す

はじめに

金属表面と相互作用する化合物は、ステンレススチール製の LC システムで分析を実行する場合、課題をもたらします。金属に吸着しやすい分析種は、流路内の露出した金属表面に吸着することがあり、クロマトグラフィーに影響を及ぼし、ピークテーリングの増加やピーク高さの低減、ピーク面積の再現性の低下が視覚的に現われます1–5 。これらの金属の相互作用を軽減する一般的なアプローチには、移動相添加剤の使用、化学的不動態化処理、システムのプライムまたはコンディショニングなどがあります2-4,6。 これらのアプローチにより、最適なシステム性能を得ることはできますが、導入に時間がかかり、性能を維持するためには一定の間隔で繰り返す必要があることが多く、最終的にラボのスループットに影響を及ぼします3,6

ACQUITY Premier 固定ループ(FL)は、MaxPeak High Performance Surfaces(HPS)テクノロジーを流路に採用して設計された FL インジェクターを搭載した、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)で、金属に吸着しやすい分析種についての性能が改善されています。固定ループは一般的なオートサンプラーインジェクター設計であり、サンプルはサンプルループに吸引されてから、カラムに注入されます7。FL には、ニードルオーバーフィル付きパーシャルループ、パーシャルループ、フルループの 3 つの注入モードがあり、分析のニーズに基づいて選択できます。FL 設計により、サイクル時間の短縮、カラム外拡散の低減、およびサンプル消費量の低減が可能になります7。MaxPeak HPS テクノロジーによる機能改良で、添加剤、不動態化、またはコンディショニングを必要とせずに、金属表面での潜在的な相互作用を排除するバリアが提供されます4–5,8

本研究では、MaxPeak HPS テクノロジーを採用した ACQUITY Premier FL システムとステンレススチール製 ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システムの性能を比較し、金属に吸着しやすい分析種および金属に吸着しにくい分析種に対して、システム設計が与える影響を評価します。金属に吸着しやすい化合物および金属に吸着しにくい化合物を含むサンプル溶液を MaxPeak HPS を採用したシステムおよびステンレススチール製システムで分析し、USP テーリング係数、絶対ピーク高さ、ピーク面積の再現性、保持時間の標準偏差など、主要なピーク特性を分析して、クロマトグラフィー性能を評価しました。

実験方法

サンプルの説明

ヒドロコルチゾンリン酸エステルトリエチルアミンは、米国薬局方(USP)(米国メリーランド州ロックビル)から購入しました。デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム、デキサメタゾン酢酸エステル、デキサメタゾンは Sigma-Aldrich(米国ミズーリ州セントルイス)から入手しました。各化合物の個々のストック溶液を、50:50 水/アセトニトリルで 2 mg/mL になるように調製しました。

4 種類の化合物(ヒドロコルチゾンリン酸エステル、デキサメタゾンリン酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル、デキサメタゾン)すべてを含むサンプル混合液は、50:50 水/アセトニトリルで 1 µg/mL および 25 µg/mL になるように調製しました(データは非表示)。

移動相と洗浄溶媒は、実験のたびに新しく調製しました。

LC 条件

LC システム:

1. CH-A および BSM を搭載した ACQUITY Premier 固定ループシステム

2. CH-A を搭載した ACQUITY UPLC I-Class PLUS 固定ループシステム

検出:

1. ACQUITY UPLC PDA eλ 検出器

2. ACQUITY UPLC PDA eλ 検出器

サンプル:

ヒドロコルチゾンリン酸エステル、デキサメタゾンリン酸エステル、デキサメタゾン酢酸エステル、デキサメタゾンを含む 1 µg/mL サンプル混合液

カラム:

1. ACQUITY Premier BEH C18 カラム、2.1 × 50 mm、1.7 µm(製品番号:186009452)

2. ACQUITY UPLC BEH C18 カラム、2.1 × 50 mm、1.7 µm(製品番号:186002350)

カラム温度:

40 ℃

サンプル温度:

10 ℃

注入量:

10 µL(フルループ注入モード)

流速:

0.600 mL/分

移動相 A:

10 mM ギ酸アンモニウム (pH 3.0)

移動相 B:

アセトニトリル

弱ニードル洗浄溶媒(WNW):

90:10 水/アセトニトリル

強ニードル洗浄溶媒(SNW):

50:50 水/アセトニトリル

シール洗浄溶媒:

90:10 水/アセトニトリル

波長:

260 nm

収集速度:

20 ポイント/秒

グラジエントテーブル

データ管理

ソフトウェア:

Empower 3.6.1

本研究では、5 台の ACQUITY Premier FL システムと 3 台の ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システムを使用しました。2 つのシステムセットアップの共通モジュールには、CH-A カラムヒーターと PDA eλ 検出器などが含まれます。ACQUITY Premier FL システムではクオータナリーソルベントマネージャーまたはバイナリーソルベントマネージャーのいずれも使用できますが、ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システムではバイナリーソルベントマネージャーのみを使用できます。性能を比較するために、この試験では ACQUITY Premier バイナリーソルベントマネージャーおよび ACQUITY UPLC I-Class バイナリーソルベントマネージャーを使用しました。ACQUITY Premier BEH C18 カラム(製品番号:186009452)を ACQUITY Premier FL システムに装着し、ステンレススチール製 ACQUITY UPLC BEH C18 カラム(製品番号:186002350)を ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システムに装着しました。

結果および考察

本研究では、ACQUITY Premier FL システムおよび ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システムのクロマトグラフィー性能を評価しました。ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL などのステンレススチール製 LC システムでは、金属に吸着しやすい分析種が、2021 年に Lauber らが発表した論文に記載されているように、ルイス酸-塩基反応により、流路内の露出した金属表面に吸着することがあります。金属表面には多くの場合、金属酸化物の薄い層がみられます。この層の金属イオンには電子が不足しており、ルイス酸として作用します。金属に吸着しやすい化合物は、多くの場合、リン酸基やカルボン酸基などの電子が豊富な部分を持ち、ルイス塩基として作用します。これらの特性により、金属に吸着しやすい化合物は、ステンレススチール製 LC 流路の表面で金属イオンと結合します。この相互作用の結果、ピークテーリングの増加、絶対ピーク高さの低減、ピーク面積再現性の低下が、クロマトグラフィーに視覚的に表われます。ACQUITY Premier FL システムの MaxPeak HPS テクノロジーにより、金属表面との相互作用が軽減され、分析種がシステムを通過する際のバンドの広がりが最小限に抑えられます。

ACQUITY Premier FL システムと ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システムの性能を比較するために、金属に吸着しやすい化合物と金属に吸着しにくい化合物を含むサンプル混合液の 6 回の繰り返し注入で構成される 6 つのサンプルセットを逆相 C18 カラムで分析しました。図 1 は、分析したサンプル中の 4 本のターゲットピークの代表的なクロマトグラムを示しています。金属に吸着しやすい化合物は、ヒドロコルチゾンリン酸エステル(HCP、ピーク 1 とラベル付け)およびデキサメタゾンリン酸エステル(DMP、ピーク 2)です。これらの化合物には、電子が豊富なリン酸基が含まれており、露出した金属表面の金属イオンに結合します。金属に吸着しにくい化合物は、デキサメタゾン(ピーク 3)およびデキサメタゾン酢酸エステル(DAC、ピーク 4)です。これらの化合物は、性能の同等性を確認するために使用しています。 

図 1.  ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システム(オレンジ色)および ACQUITY Premier FL(青色)システムで得られたサンプル混合液の代表的なクロマトグラム。金属に吸着しやすいターゲット化合物と金属に吸着しにくいターゲット化合物を分析して、ピーク特性を比較しました。ピークのラベル:1 - ヒドロコルチゾンリン酸エステル、2 - デキサメタゾンリン酸エステル、3 - デキサメタゾン、4 - デキサメタゾン酢酸エステル。

システムに対するコンディショニングの影響を調べるために、まず 2 つの濃度レベル(1 µg/mL および 25 µg/mL)を選択しました(データは非表示)。従来の LC システムのプライムまたはコンディショニングでは、露出した流路内の活性部位をブロックすることにより、システム性能を回復します。このコンディショニングの効果は、25 µg/mL のサンプルでは十分に観察されました。この場合、露出した活性部位を競合する金属に吸着しやすい分析種が豊富に存在しているため、ステンレススチール製システムが効果的にプライムされ、ステンレススチール製システムと MaxPeak HPS システムの間の性能の差が最小限に抑えられています。1 µg/mL のサンプルでは、ブロックされた活性部位が少ないため、コンディショニングだけではシステム性能を十分回復できず、したがってクロマトグラフィーでの金属への吸着の影響がより顕著です。そのため、本研究では、コンディショニングが金属への吸着の有効な対策にならない低濃度サンプルに注目します。

性能の向上:金属に吸着しやすい分析種

ステンレススチール製流路内の金属との相互作用により、金属に吸着しやすい分析種のピーク形状に歪みが生じています。露出した金属表面に吸着する金属に吸着しやすい化合物は、より非対称であり、伸びたピークおよび長いテーリングを示します。ピークの溶出により時間かかるため、溶出時間にわたって検出器を通過する化合物の量が減少し、結果としてピーク高さが低下します。

この現象は、図 2 で視覚化されています。ここでは、ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システムの金属表面との相互作用により、HCP および DMP は、長いテーリングと低いピーク高さを示す非対称ピークとして溶出しています。MaxPeak HPS テクノロジーは、金属が結合する可能性のある活性部位を流路内から排除して、このようなピーク形状の歪みを防ぐように設計されており、ピークがシャープで対称に保たれます。MaxPeak HPS テクノロジーを採用した ACQUITY Premier FL システムでは、これらの金属に吸着しやすい化合物が、金属との相互作用から保護されるため、テーリングの少ない、高いピークが得られます。金属への吸着しやすさを評価するための方法として、ピークテーリング、ピーク高さ、ピーク面積の再現性の 3 つのピーク特性が使用されます。 

図 2.  ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL および ACQUITY Premier FL でのヒドロコルチゾンリン酸エステル(HCP、ピーク 1)とデキサメタゾンリン酸エステル(DMP、ピーク 2)の注入の重ね書き 

ピーク形状を分析するために、サンプルセットについて、USP テーリング係数と、HCP および DMP の絶対高さを決定しました(それぞれ図 3 と 4 に対応)。USP テーリング係数により、ピークの非対称性が測定されます。値が 1 の場合は、完全に対称的なピークを示します。MaxPeak HPS システムでは、ステンレススチール製システムと比べて、HCP および DMP の平均 USP テーリング係数がより低く(図 3)、HCP および DMP の平均絶対ピーク高さがより大きいです(図 4)。いずれの係数も、ACQUITY Premier FL システムの流路で発生している金属の相互作用が少ないことを示しています。

図 3.  ヒドロコルチゾンリン酸エステルおよびデキサメタゾンリン酸エステル(1 µg/mL)の平均 USP テーリング。平均値は、まず各サンプルセット内(6 回の注入)で計算され、次に各システムで実行されたサンプルセット全体(ACQUITY Premier FL では 5 セット、ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL では 3 セット)で計算されました。
図 4.  ヒドロコルチゾンリン酸エステルとデキサメタゾンリン酸エステル(1 µg/mL)の平均絶対ピーク高さ。平均値は、まず各サンプルセット内(6 回の注入)で計算され、次に各システムで実行されたサンプルセット全体(ACQUITY Premier FL では 5 セット、ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL では 3 セット)で計算されました。

ピーク形状に加えて、ピーク面積の再現性も金属への吸着しやすさの度合いを評価する指標となります。システムが完全にコンディショニングされるまで、金属に吸着しやすい化合物は、注入間で低い再現性を示すことが多く、ピーク高さとピーク面積が大きく変動します。面積の再現性が低い分析種は、ピーク面積の % 相対標準偏差(RSD)が大きくなります。このことは、図 5 で、HCP および DMP の平均ピーク面積の %RSD を使用して示されています。化合物の平均ピーク面積の %RSD 値は、ACQUITY Premier FL システムでは 0.5% 未満ですが、ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システムでは 2.9% を超えています。ACQUITY Premier FL システムでの良好なピーク再現性は、金属との相互作用の発生が少ないことを示しています。

図 5.  ヒドロコルチゾンリン酸エステルおよびデキサメタゾンリン酸エステル(1 µg/mL)の平均面積再現性。平均値は、まず各サンプルセット内(6 回の注入)で計算され、次に各システムで実行されたサンプルセット全体(ACQUITY Premier FL では 5 セット、ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL では 3 セット)で計算されました。

性能の同等性:金属に吸着しにくい分析種

対照的に、金属に吸着しにくい分析種が、流路内の金属表面と相互作用することはほとんどありません。MaxPeak HPS による機能改良は差別化要因ではないため、これらの化合物を使用して、ACQUITY Premier FL システムと ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL システムの間で性能の同等性を評価することができます。この比較では、金属に吸着しにくい化合物(デキサメタゾンとデキサメタゾン酢酸エステル)について、性能の一貫性の尺度として、ピーク面積の再現性と保持時間の標準偏差を分析しています。

前述のように、ピーク面積の再現性低下は、金属との相互作用が生じていることを示す徴候です。金属に吸着しにくい化合物は、このような相互作用の影響を受けません。この点については、図 6 に示されているように、金属に吸着しにくい化合物は、すべてのシステムにわたって、良好な面積の再現性と低いピーク面積の %RSD 値(%RSD < 0.5%)を示しました。MaxPeak HPS とステンレススチール製システムの間に、大きな性能の不一致は観察されませんでした。

本研究で評価する別の指標は、保持時間の再現性であり、これは性能の一貫性の尺度となります。金属に吸着しやすい分析種の保持時間は、ステンレススチール製のシステムがコンディショニングされるにつれて、時間の経過とともにシフトすることがよくあります。逆に、金属表面との相互作用がほとんどなく、金属に吸着しにくい分析種では、この保持時間のシフトは見られません。図 7 に示されるように、デキサメタゾンと DAC の平均保持時間の標準偏差(SD)はシステム間で 0.040 秒と同等であり、MaxPeak HPS システムとステンレススチール製システムの間に大きな性能の差がないことを示しています。

図 6.  デキサメタゾンおよびデキサメタゾン酢酸エステル(1 µg/mL)の平均面積再現性。平均値は、まず各サンプルセット内(6 回の注入)で計算され、次に各システムで実行されたサンプルセット全体(ACQUITY Premier FL では 5 セット、ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL では 3 セット)で計算されました。
図 7.  デキサメタゾンおよびデキサメタゾン酢酸エステル(1 µg/mL)の平均保持時間の標準偏差。平均値は、まず各サンプルセット内(6 回の注入)で計算され、次に各システムで実行されたサンプルセット全体(ACQUITY Premier FL では 5 セット、ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL では 3 セット)で計算されました。

性能のサマリー

全体的に、ACQUITY Premier FL は金属に吸着しやすい分析種に対してより優れたクロマトグラフィー性能を示し、金属に吸着しにくい分析種について同等の性能を示しました。金属に吸着しやすい分析種である HCP および DMP では、MaxPeak HPS システムでピーク形状とピーク面積の再現性の向上が得られました。金属に吸着しにくい分析種であるデキサメタゾンおよび DAC では、ピーク面積の再現性および保持時間 SD について、システム間で大きな性能の差は見られませんでした。まとめると、これらの結果から、ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL と比較して、ACQUITY Premier FL は、金属に吸着しやすいターゲット化合物ではより優れた性能を発揮し、金属に吸着しにくいターゲット化合物では、同等のクロマトグラフィー性能を提供することが示されています。

結論

金属に吸着しやすい化合物は、従来のステンレススチール製 LC システムでは分析が困難でした。最適な性能を得るためには、多くの場合、多大な労力と時間がかかる移動相添加剤の調製、システムの不動態化やコンディショニングを行う必要があり、スループットに影響を及ぼすことがあります。流路での金属との相互作用により、これらの化合物では多くの場合、クロマトグラフィーの不良が見られます。これには、ピークテーリングの増加やピーク高さの低下などのピーク形状の歪みが含まれることがあり、検出器レスポンスの低下およびピーク面積の再現性の低下につながることがあります。本研究では、MaxPeak HPS テクノロジーを採用した ACQUITY Premier FL のクロマトグラフィー性能を、ステンレススチール製 ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL と比較しました。金属に吸着しやすい分析種については、ACQUITY Premier FL により、ピークテーリングの低減、ピーク高さの増大、ピーク面積の再現性の改善をシステムのコンディショニングなしで達成できることが一貫して実証されました。さらに、金属に吸着しにくい分析種については、ACQUITY Premier FL は、ピーク面積の再現性および保持時間の標準偏差の点で ACQUITY UPLC I-Class PLUS FL と同等の性能を示しました。MaxPeak HPS テクノロジーを採用した ACQUITY Premier FL は、金属に吸着しにくい化合物に対する性能を損なうことなく、金属に吸着しやすい化合物の課題を解決する、汎用性が高く便利なソリューションです。

参考文献

  1. Gilar, M.; DeLano, M.; Gritti, F. Mitigation of analyte loss on metal surfaces in liquid chromatography.Journal of Chromatography A, Volume 1650, August 2021, 462247.https://doi.org/10.1016/j.chroma.2021.462247
  2. Lauber, M.; Walter, T.; Gilar, M.; DeLano, M.; Boissel, C.; Smith, K.; Birdsall, R.; Rainville, P.; Belanger, J.; Wyndham, K. Low Adsorption HPLC Columns Based on MaxPeak High Performance Surfaces (HPS).Waters White Paper, 720006930, 2021.
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  5. Patel, A.; Simeone, J.; Delano, M.; Dyke, J.; Rzewuski, S.; Jung, M.; Shiner, S. Waters Premier Standards to Investigate the Inertness of Chromatographic Surfaces.Waters Application Note, 720007105, March 2021. 
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  7. McConville, P. Enhanced Sample Delivery Mechanism for Ultra Low Dispersion and Carryover Performance.Waters Application Note, 720003443, April 2018.
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720007899JA、2023 年 5 月

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