ScanWave - タンデム四重極MSのスペクトル感度の向上

従来のタンデム四重極MSは、ターゲット化合物をモニターするMRMモードでは十分な感度を確保できますが、スペクトルデータについては、機構上必ずしも高感度であるとは言えませんでした。ScanWaveテクノロジーにより、プロダクトイオンスキャンやMSスキャンのスペクトルを高感度で測定可能となります。このScanWaveモードでは、イオンをコリジョンセル内で蓄積させた後、質量分析でm/z が観測されます。ScanWaveから開放されたイオンとMS2のスキャンを共鳴させることで、MSスキャンやプロダクトイオンスキャンの強度を向上させる効果があります。よって、化合物の構造確認がよりし易くなります。

プロダクトイオン確認スキャン（PICS）

PICSとは、プロダクトイオンスキャンの感度を向上させるScanWaveモードを用いながら、MRMデータを取得しつつ、MRMモードでモニターするターゲットをトリガーにしたプロダクトイオンスキャンを行える分析モードです。スペクトル感度を向上させるScanWaveモードにより取得されたデータは、MRMモードからのターゲット化合物の確認情報としても活用できます。PICSから得られたスペクトルは、予め登録されたスペクトルとの照合することにより確認することもできます。PICSはUPLCにも対応するスピードで、定量分析におけるMRMのデータ品質を損なうことなくデータ取得が可能です。

RADARモード

RADARとは、1回の注入でMRMとフルスキャンの両方を同時取得する分析モードで、以下のような場合に特に有効となります。

• 分析メソッド開発時におけるターゲットピーク付近のバックグラウンドモニター
• 定量分析時のマトリックス効果モニター（正・負イオンモード含む）
• ターゲット化合物モニターだけでなく、未知の不純物・分解物・代謝物をモニターすることによるサンプル全体像の把握
• RADARモードはXevoファミリーの四重極MSの全てに標準搭載されています。