LC/MSとは、液体クロマトグラフ(LC)と質量分析計(MS)を接続した機器で、UV 吸収を持たない化合物でもマススペクトルの確認により高い選択性のもと、より確実な同定、超高感度定量が行えます。
ウォーターズは幅広いラインアップの質量分析計を提供しています。コンパクトタイプから超高感度タイプまで、堅牢で長期にわたって活用でき、あなたのラボに適したLC/MS、LC/MS/MS、GC/MS/MS をご紹介します。
長期間汚れを防けるようイオン源に ZSpray イオン源を採用するなど、全ての機種において、ウォーターズの質量分析計は、日常的なメンテナンスを最小限にすると同時に、装置の感度を最大化しするようユニークな設計がされています。
タンデム四重極(トリプル四重極)型質量分析計(主に定量用途で使用) 潜在的汚染物質を積極的にフィルタリングし、イオン源から導入されるイオンを最高効率で輸送することで感度と堅牢性が向上する StepWave、プロダクトイオン確認スキャン (PICs) の感度を向上することで、分析対象の同定における信頼性を向上させる ScanWave、定量データと定性データの同時取得によって、複雑なサンプルの理解を深め、より適切な分析法開発を実現できる RADAR、などのテクノロジーによって、難易度の高い化合物でも日常的に高感度で検出でき、定量の信頼性が高まります。
飛行時間 (Tof) 型質量分析計(定量・定性用途で使用) 高分解能精密 MS における新次元を提供する QuanTof、微量成分の高感度分析を提供する Stepwave、複雑な混合物中の構造解析が可能な Triwave、網羅的な精密質量情報を提供する MSEなどのテクノロジーによって、研究の可能性が劇的に広がります。
質量分析計は、分子を気相のイオンに変換できる場合に限って、その分子の質量を測定することができます。生成されたイオンを質量スペクトルとして表示します。
イオンの生成には、分析対象物に適するような複数の方法があります。例えば、MALDI のようにマトリックスに溶解した化合物の レーザー脱離 によるもの、電子イオン化 (EI) のように荷電粒子や電子との相互作用によるもの、また、移動過程の一部でイオン化が行われるエレクトロスプレー (ESI) などもあります。ESI では、液体クロマトグラフィーの溶出物に高電圧をかけ、霧状にしたサンプルからイオンを生成します。
イオンは、その質量電荷比 (m/z) に応じて分離、検出、測定されます。相対的なイオン電流(シグナル)が m/z に対してプロットされ、質量スペクトルが作成されます。低分子は通常、一価で生成されるため、m/z は質量 (m) に1が加算されます。「1」は、イオン化プロセスで付加されたプロトンです[M+H+で表記。プロトンが失われてイオンが生成される場合はM-H- と表記]。また電子が失われた結果イオンが生成された場合は、ラジカルカチオン[M+.] で表します。質量分析計の精度と、いかに真値に近づけるかについては、この章の後半に記載します。
高分子の場合、構造により複数の場所に電荷を取り込みます。高分子には多くの部位がありますが、小さいペプチドは一般に二価 (M+2H+) で生成されるため、単純なアルゴリズムを使用して、スペクトルで表されるイオンの質量を推測することができます。
LC/MS では一般的に、目的成分の溶解性と用いるイオン化法によって、使用する溶媒を選択します。ESI をはじめとする大気圧イオン化では、溶媒の揮発性とプロトン供与体となり得るかどうかが重要な要素です。
そのため、メタノール/水 (1:1) や、アセトニトリル/水 (1:1) のように、プロトン供与性溶媒であるメタノールや水との混合溶媒が使用されます(水とメタノールを混合すると発熱反応が起こり、純水や100%メタノールよりも粘性が高くなります)。水は比較的揮発性が低いため、100%で使用すると感度が低下することがあります。その場合は、揮発性の有機溶媒を加えて表面張力を押さえる事により、感度向上を図ることができます。また、高いプロトン親和力を持つ界面活性剤を使用すると、霧状になった液滴からのイオン遊離の絶対量は増大しますが、イオン化が競合して目的化合物の感度が低下します。
定量とは、サンプル内の測定対象成分の量を測定することです。質量分析を用いた定量分析は、「サンプル中に含まれる測定対象成分の量はどれくらいですか?」という重要な質問に答えるための分析プロセスです。質量分析を用いた定量分析は、食品、環境、医薬品、バイオ医薬品、化学薬品や健康科学など、様々な業界における科学的課題を解決します。