20 mm ワイドポア HILIC カラムを使用した糖タンパク質の迅速 LC-MS 分析
要約
20 mm ACQUITY™ Premier Glycoprotein BEH Amide、300Å、1.7 µm カラムを使用した HILIC モードでの迅速な糖タンパク質の分離および LC-MS 分析について実証するため。
はじめに
モノクローナル抗体(mAb)などのバイオ医薬品が急速に成長していることから、開発プロセス全体でハイスループットの分析法が望まれています。親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)は、主に非常に高極性の分子種を分離することができることから、タンパク質のグリコシル化を特性解析するための有用なツールとして使用されています。ワイドポアのアミド結合固定相が、インタクトプロテインのグリコフォームの分離に優れていることが示されています1,2。 このテクノロジーブリーフでは、短い 2.1 × 20 mm ACQUITY Premier Glycoprotein BEH™ Amide、300Å、1.7 µm カラム(製品番号:186011017)を使用することで、150 mm カラムと比較して 5 分の 1 の分析時間で、糖タンパク質の有効な LCMS 質量データが得られることを示します。
結果および考察
図 1 および 2a には、2.1 × 20 mm カラムと 2.1 × 150 mm カラムを使用し、カラム容量に対するグラジエント勾配を同等にして、アセトニトリル:水グラジエント(0.1% TFA)で分離した、糖タンパク質性能試験標準試料(製品番号:186008010)の UV クロマトグラムおよび MS クロマトグラムをそれぞれ示します。試験標準試料には、RNase A(アグリコシル化型)および RNase B とそのグリコシル化型(Man5 ~ Man9)が含まれています。主要ピークの間の分離の低下が見られますが、20 mm カラムと 150 mm カラムで得られた MS データは同等でした(図 2b と 2c)。20 mm カラムと 150 mm カラムで得られたデコンボリューション済み質量も一致していました(表 1)。重要な点として、20 mm カラムを使用すると、150 mm カラムを使用した場合よりも分析時間が 5 分の 1 に短縮しました。さらに、移動相の使用量が 7 分の 1 に低減し、サンプル量が 4 分の 1 に低減するというメリットがあります。
結論
20 mm ACQUITY Premier Glycoprotein BEH Amide、300Å、1.7 µm HILIC カラムにより、RNase A および RNase B のグリコフォームを効果的に分離することができます。20 mm カラムを使用すると、150 mm カラムよりも分析時間が 5 分の 1 以下に短縮され、アセトニトリルの消費量が大幅に少なくなります。RNase のグリコフォーム間の分離能は低下しますが、20 mm カラムと 150 mm カラムで MS データは同等であり、ハイスループット分析法での糖タンパク質同定において高い信頼性が得られました。
参考文献
- Lauber M.A., McCall S.A., Alden B.A., Iraneta P.C., and Koza S.M. Developing High Resolution HILIC Separations of Intact Glycosylated Proteins Using a Wide-Pore Amide-Bonded Stationary Phase.Waters Application Note.720005380. April 2015.
- ACQUITY UPLC Glycoprotein BEH Amide, 300 Å, 1.7 µm Columns, ACQUITY Premier Glycoprotein BEH Amide, 300 Å, 1.7 µm Column, and Glycoprotein Performance Test Standard.Waters Care and Use Manual.720005408.2021.
720008304JA、2024 年 3 月