多成分一斉スクリーニングメソッドは、世界中における食品サンプルや環境サンプルのモニタリングに不可欠です。これらのメソッドの目的は、適合サンプルを排除し、不適合サンプルを特定して後で確認および定量を行うことです。感度は、複雑なマトリックス中の残留農薬についての規制限界に合致している必要があります。また、メソッドは、法的要件に従ってバリデーションする必要があります。このメソッドは、サンプル前処理から結果のレポート作成まで、理想的には迅速で費用対効果が高く、効率的なプロセスと考えられます。
多くのラボが、理論上無限の数のターゲット化合物をモニターできると同時に、未知化合物や目的の代謝物の探索に役立つ情報が得られる、高分解能質量分析(HRMS)スクリーニング手法に向けて進んでいます。
食品サンプルおよび環境サンプルでの多成分一斉スクリーニングにおける、最新の科学情報システム(UNIFI)と組み合わせたデータインディペンデントノンターゲット分析の種類(MSE および HDMSE)の使いやすさと有効性が、真正サンプルの分析を含むこのケーススタディで実証されています。このアプリケーションノートでは、ルーチン環境で使用するためのサイエンスソフトウェア内でユーザーがデータレビューをカスタマイズできる新規の方法を紹介します。
HRMS データを正確かつ容易にレビューして、ホウレンソウサンプル中の目的のターゲット質量および未知質量の有無を、ホウレンソウのブランクサンプルと比較して判定できることを実証します。
多成分一斉スクリーニングメソッドは、世界中における食品サンプルや環境サンプルのモニタリングに不可欠です。これらのメソッドの目的は、適合サンプルを排除し、不適合サンプルを特定して後で確認および定量を行うことです。感度は、複雑なマトリックス中の残留農薬についての規制限界に合致している必要があります。また、メソッドは、法的要件に従ってバリデーションする必要があります。このメソッドは、サンプル前処理から結果のレポート作成まで、理想的には迅速で費用対効果が高く、効率的なプロセスと考えられます。
現在、LC-MS/MS または GC-MS/MS タンデム四重極テクノロジーは、上記の要件を満たしており、これらの分析の実行に使用できる事実上の手法として現在存在します。一方、モニタリングリストおよびウォッチリストに追加される分析種の数は増加し続けているため、通常のスクリーニングメソッドの適用範囲が拡張しています。また、ターゲットリストに含まれていない化合物をスクリーニングしたいという要望もますます一般的になっています。結果として、多くのラボが、理論上無限の数のターゲット化合物をモニターできると同時に、未知化合物や目的の代謝物の探索に役立つ情報が得られる、高分解能質量分析(HRMS)スクリーニング手法に向かって進んでいます。
食品サンプルおよび環境サンプルでの多成分一斉スクリーニングにおける、最新の科学情報システム(UNIFI)と組み合わせたデータインディペンデントノンターゲット分析の種類(MSE および HDMSE)1の使いやすさと有効性が、真正サンプルの分析を含むこのケーススタディで実証されています。このアプリケーションノートでは、ルーチン環境の情報システム内でユーザーがデータレビューをカスタマイズできる新規の方法に焦点を当てます。その詳細には、図 1 に示す 4 つの質問に単一の解析ステップで回答するために、HRMS データをレビューするための簡潔で迅速、かつ容易で一貫したアプローチを確立する方法が含まれます。
QuEChERS を使用して調製した、ホウレンソウ抽出物およびマトリックス 1.0 g/mL をスパイクした 100% アセトニトリル(ACN)中のホウレンソウ抽出物を含むバイアルが、共同研究者によって提供されました。サンプルを水で 1:1 希釈し、マトリックス濃度を 0.5 g/mL にしました。5 µL の注入を実行しました。データインディペンデントノンターゲット分析(MSE)1 で収集を行い、UNIFI で解析しました。以前のアプリケーションノート2では、ノンターゲットデータセットの収集に使用するパラメーターについて詳述し、得られた複雑なデータセットを容易かつ一貫して迅速に解析するためのデータのコンポーネント化3の重要性を強調しています。
コンポーネント化したデータを、目的の未知質量について、529 種類の残留農薬のターゲットリストに対して調査しました。目的のノンターゲット質量を、バッチ解析ツールを使用して解析しました。この分析では、Waters™ 農薬スクリーニングアプリケーションソリューションの定性的精密質量スクリーニング、バイナリー比較、未知化合物スクリーニングの各機能に焦点を当てており、図 1 に示す 4 つの質問のうち 3 つ(強調表示)に回答しています。
共同研究者は、スパイク済みホウレンソウサンプルにはターゲットリストにない残留農薬が含まれていると確信していました。共同研究者は、ノンターゲット残留農薬について、これらがどのように検出され、解析されたかを評価したいと考えました。これがどのように行われたかの詳細な記載が、このアプリケーションノートの最後にあるワークフローのステップへのスポットライトの焦点です。
これらのケーススタディの目的は、UNIFI 内のワークフロー、ビュー、フィルターを使用して、迅速で効率的かつ体系的で再現性よく、サンプルの注入から正確なレポート作成までたどり着く方法を示すことです。この定性分析で使用するワークフローを図 2 に示します。ワークフロー(左)は一連のステップを含んでおり、これによって HRMS データを簡潔かつ一貫してレビューでき、各ステップはカスタマイズ可能なフィルターとビューで構成されています。
表示される情報により、図 1 に示した質問に対して迅速に決定を下すことができます。
共同研究者によって提供された、ホウレンソウサンプルにスパイクした化合物のリストを表 1 に示します。データのレビューに続いて、共同研究者がホウレンソウサンプルにスパイクしたすべての化合物が報告されています。9 種の化合物が 529 種の化合物のターゲットリストに存在しました。ターゲットリストに存在しない目的の 5 種の化合物は、ブランクのホウレンソウサンプルとのバイナリー比較、または UNIFI 内でハロゲンマッチツールを使用して検出されました。これらの 5 つの目的質量の解析は、基本的にはバッチ解析ツールである UNIFI のディスカバーツールを使用して行いました。
感度 - MSE を使用すると、MRL を下回る濃度の農薬のプリカーサーイオンおよびプロダクトイオンを検出するのに十分な感度で、バイアスのないノンターゲットデータセットが得られます。
スピード - 包括的 MSE データを収集するためのスキャンレートは、開発済み UPLC メソッドのピーク幅に従って設定されます。高速デューティサイクルにより、1 回の注入でプリカーサーイオンチャンネルとプロダクトイオンチャンネルの両方のクロマトグラフィーピークにわたって十分なポイントをキャプチャーし、同定基準と定量結果を最大化できます。
選択性 - 先端の 3D ピーク選択およびコンポーネント化によって特異性が増し、生データをさらに解析することなく、複雑なサンプル中の目的のターゲット質量、ノンターゲット質量、未知質量のデータを調査することができます。
有効性 - フィルター、ワークフロー、ビューを使用することで、ルーチン環境における大規模なデータセットの一貫して簡潔かつ包括的なレビューが表示され、注入から正確な結果を迅速に得ることができます。
ワークフローのステップ 6 ~ 8:バイナリー比較およびハロゲンマッチ機能を使用したノンターゲット(未知化合物)スクリーニング
データのコンポーネント化により、ターゲットのリストによって、または目的の未知質量に関し、すべての目的の候補質量が調査用の同じデータセットに確実に含まれます。未知化合物の検索に必要な追加の解析はありません。すべての特性(候補質量)がコンポーネント化によって抽出されます。
UNIFI でレファレンスサンプルと未知サンプルを比較する方法がいくつかあります。大きな差はベースピーク強度(BPI)のバイナリー比較機能を使用して簡単に表示できます(図 3)。
目的の未知質量を、ハロゲンマッチ機能を使用して探索することもできます(図 6)。単一の解析段階では、質量差と同位体強度を使用して、すべての未同定の質量について、塩素原子および臭素原子の有無を評価します。このワークフローのステップでは、単純なフィルターを使用して、定義された質量範囲内で、強度しきい値を超えるハロゲンを含有する可能性がある質量を強調表示します。表示用に選択されている情報は、成分サマリー、抽出イオンクロマトグラム、およびスペクトル情報です(図 6)。成分サマリーでは、保持時間、レスポンス、提案された塩素イオンと臭素イオンの数などの情報が強調表示されています。スペクトル画面により、それぞれのハロゲンを含有する可能性がある化合物を迅速に評価できます。クロマトグラム画面には、一部の候補質量の抽出イオンクロマトグラム(XIC)が表示されます。図 6 に、3 つの質量が強調表示されています。このことは、バイナリー比較(図 5)で強調表示された 5 つの質量のうち 3 つが、ハロゲンマッチツールの基準も満たしていることを意味します。目的の未知質量の検出を可能にする UNIFI 内のその他のツール(示していません)として、共通フラグメント、質量欠損、ニュートラルロスがあります。完全な多変量解析機能(示していません)も、完全な未知化合物のスクリーニング実験に使用できます。
UNIFI 内では、目的の未知質量の同定に役立つ幅広い解析ツールが使用できます。ディスカバーツールもその 1 つで、このツールを使用すると、複数の質量をバッチとして解析することを依頼できます。元素組成は主に、選択した目的の質量に対して実行します。設定した基準を満たす提案された構造式はすべて、ライブラリー検索に送信されます。ライブラリーは、UNIFI 内の社内ライブラリー、ChemSpider4 内の個々のライブラリーまたはライブラリーの一部、あるいは ChemSpider ライブラリー全体である場合があります。ライブラリーマッチの可能性があるすべての mol ファイルがダウンロードされ、バッチ解析の最後の部分としてフラグメントマッチが行われます。ディスカバーツールの設定については、以下で詳しく説明します。
ディスカバーツールの設定
目的の 5 つの質量(図 5 で強調表示)をディスカバーツールに送信した結果を図 7 に示します。図 7 の右側の結果テーブルには、すべての予測元素組成が、目的の 5 つの質量のデータベース検索の結果およびフラグメントマッチ情報とともに表示されます。これらの結果は列ヘッダーによって並べ替えることができ、この場合は予測強度でランク付けされています。候補質量 318.1979 の最上位のヒットが強調表示されています。この候補の予測元素組成は C18H24FN3O で、データベース検索の結果はペンフルフェンです。データベースからのペンフルフェンの構造式を使用してフラグメントマッチを行い、プロダクトスペクトルからの 9 つのイオンが質量誤差 2 mDa 以内でマッチしました。これにより、高エネルギーデータ中に存在するスペクトルピークの予測強度マッチが 77% になり、結果に確信が得られました。強調表示された候補質量のプリカーサーイオンおよびプロダクトイオンのスペクトル情報が図 7 の左側に表示されています。
ディスカバーツールの結果のレビューに続いて、割り当てボタンを選択して、これらの同定候補を最終レポートに含めることができます。
情報を表形式で表示することもできます。2 サンプルの比較において、成分サマリーを使用してデータをレビューすると、すべての強度の「未知サンプル固有」、「レファレンスサンプル固有」、「共通」の質量が表示されます(図 4)。
シンプルなフィルターを適用することで、目的のイオンに焦点を合わせることができます。例えば、100 ~ 500 Da で、レスポンスが定義された値よりも大きい、未知サンプルに固有の質量のみを表示します。
バイナリー比較成分プロット(図 5)では、成分質量が棒線として表示されます。これにより、ユーザーは即座に、未知サンプル中にレファレンスと比較して異なる目的質量を観察して選択することができます。選択すると、これらの目的質量(黄色のボックスで強調表示)は、問題解明ツールセットに直接送信できます。
基本的に、MSE 取り込み、データのコンポーネント化、UNIFI の使用により、データの調査、並べ替え、表示を行って迅速にレポートすることができます。
ハロゲンマッチ、バイナリー比較、およびバッチ解析を使用することで、共同研究者がスパイクした 5 つの未知化合物の同定が可能になりました。共同研究者はこれらの化合物(アメトクトラジン、ビキサフェン、ペンフルエン、ピリオフェノン、バリフェナレート)を分析の前に開示していませんでしたが、最終レビューにより、分析結果が正しいことがわかりました。
720005608JA、2016 年 2 月