クロマトグラフィー法を用いてポリマーの特性解析を行う場合、サンプルの分析に GPC だけを用いるわけではありません。多くの場合、必要な情報を得るには、吸着クロマトグラフィーや分配クロマトグラフィーによる液体クロマトグラフィー法を用いる必要があります。
たとえば、ポリマー添加剤の定量には、従来の逆相分離法や、時には順相分離法が使用されます。ポリマーサンプルの分子量分布がわかったとしても、それは特性解析プロセスの一部に過ぎません。安定性や加工性を高めるためにポリマーに追加されている添加剤はどうでしょうか?ポリマー自体よりも重要かもしれません。分解を防ぐための UV 安定剤や抗酸化剤、柔軟性を高めるための可塑剤、ポリオレフィンの静電気防止剤、難燃剤、架橋 (または硬化) プロセスを促進するための促進剤などは、適切なものを使用することを考える必要があります。
当社では、ポリマー添加剤に関して広範な研究を行ってきました。すでに発表した研究の一部については、Journal of Liquid Chromatography、volume 14 #3 (1991) および volume 16、#7 (1993) で詳細をご覧いただけます。
ポリマー添加剤はどのように分析すればよいでしょうか? まず、何を行うかを考える必要があります。組成中に各添加剤が適切な量で含まれていることを知る必要があるのでしょうか?競合物質の「成分の分離同定」を行いたいのでしょうか? ポリマーマトリックスから添加剤パッケージを抽出する必要があるのでしょうか? これらの質問への答えは、すべて「はい」であるかもしれません。GPC 分析は、含まれている添加物の分析、同定、および定量には最適な方法ではありません。ほとんどの添加剤は、サイズおよび分子量が非常に似ているため、分離するには HPLC を使用する必要があります。シンプルなグラジエント技術は、オプションのフロープログラミングを併用して、短い分析時間で多くの異なる種類の添加剤を分離するのに非常に有効です。グラジエント分析は、一定時間にわたり、通常は溶出力の「弱い」溶媒から「強い」溶媒へと、溶離液 (移動相の組成) を変化させて行います。この組成の変化は、大抵の添加剤分析ではリニアで行われます。クロマトグラフィー分析中は常に溶離液組成が変化しているため、屈折率検出器を使うことはできません。
分析対象となるポリマー添加剤の大部分は、紫外線を吸収する発色団を持っているため、UV 検出器が主に使用されます。発色団がない場合、蒸発光散乱検出器を使うことができます。分析中に流速を変化させることもできます。通常は流速を高めて、後で溶出する成分が早く溶出するようにします。添加剤分析で通常選択されるカラムは、長さが約 15 cm のオクタデシルシラン (C18) カラムまたはオクチルシラン (C8) カラムです。一般的な抗酸化剤および UV 安定剤の 12 回のインジェクションを重ね描きした逆相グラジエント (フロープログラム併用) 分離の例を以下に示します。
グラジエント条件は非常にシンプルで、70% アセトニトリル/30% 水から 100% アセトニトリルに 5 分間でなるリニアグラジエントです。また、フロープログラムも併用し、最初から 6 分後までは 2.0 mL/min で、その後 12 秒間で 3.0 mL/min に上昇させます。データの表から、各添加剤について非常に高い再現性のある結果 (保持時間および面積 RSD) を確認できます。これは、Alliance システムのフローとサンプル送達における非常に高い再現性をさらに証明するものです。
UV 検出は、230 nm で行いました。PDA 検出器ではすべての波長 (測定対象とするすべての波長) を同時に調べるため、各添加剤の UV スペクトルを得ることができます。このスペクトルはライブラリーに保存され、保存されている既知の添加剤スタンダードのライブラリーと比較することができます。このライブラリーサーチの唯一の欠点は、抗酸化剤の大部分がほぼ同じスペクトルを持つヒンダードフェノールであることです。その場合、同定は保持時間のみに基づいて行わなければなりません。別の手段として、システムに質量分析計を追加することができます。これにより、ライブラリーサーチが可能なMSスペクトルを得ることができます
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