• アプリケーションノート

ACQUITY PREMIER システムとカラムを用いたオリゴヌクレオチドのバイオアナリシスにおけるクロマトグラフィー性能の改善

ACQUITY PREMIER システムとカラムを用いたオリゴヌクレオチドのバイオアナリシスにおけるクロマトグラフィー性能の改善

  • Kathryn Brennan
  • Mary Trudeau
  • Paul D. Rainville
  • Waters Corporation

本書はアプリケーションブリーフであり、詳細な実験方法のセクションは含まれていません。

要約

オリゴヌクレオチド医薬品の LC-MS/MS バイオアナリシス定量において、正確な定量を行うためには高感度で頑健な分析法が必要になります。本研究では、ACQUITY PREMIER クロマトグラフィーシステムを使用した場合の、オリゴデオキシチミジン(ODT)およびアンチセンスオリゴヌクレオチド医薬品 GEM91 についてのクロマトグラフィー性能の改善について説明しています。 

アプリケーションのメリット

  • ACQUITY PREMIER システムおよび ACQUITY PREMIER オリゴヌクレオチド C18 カラムの使用により、オリゴヌクレオチドの回収率とピーク形状が改善され、最終的に分析法の検出限界と再現性が向上しました。
  • ACQUITY PREMIER テクノロジーの採用により、時間のかかるシステムおよびカラムの不動態化処理が不要になり、コストのかかるイオン対形成移動相試薬の使用が削減され、システムの稼働時間が最大化されます。

はじめに

オリゴヌクレオチドの LC-MS 分析法開発における多くの課題の中でも、そのポリアニオン性による、よく知られている金属への吸着性が最大の問題となります。この金属との相互作用はクロマトグラフィー性能に悪影響を及ぼし、不完全なピーク形状や、分析種の回収率と再現性の問題のために、最終的に分析法の全体的な性能が制限されることがよくあります。吸着部位をブロックするために、高濃度のオリゴヌクレオチドを使用する LC システムおよびカラムのコンディショニングまたは不動態化処理がよく実施されています。この不動態化は、効果的ではありますが、永続的なものではありません。代替策として、移動相中に EDTA などのキレート試薬がよく使用されます。キレート化添加剤の使用も効果的ではありますが、LC-MS 分析に悪影響を及ぼし、MS シグナルが抑制されて感度が制限されることがよくあります。 

ここでご紹介している研究により、ACQUITY PREMIER クロマトグラフィーシステムと ACQUITY PREMIER Oligonucleotide C18 カラムを用いたオリゴヌクレオチドのバイオアナリシスの定量性能が改善されていることが実証されました。MaxPeak High Performance Surfaces を採用した ACQUITY PREMIER テクノロジーは、イオン性相互作用による非特異的吸着を防ぐように特別に設計されており、システムやカラムの不動態化を必要とせずに、オリゴヌクレオチドのピーク形状、回収率、全体的な再現性が大幅に改善されます。 

結果および考察

ACQUITY PREMIER システムの性能を ACQUITY UPLC I-Class PLUS システム(ACQUITY UPLC)と比較しました。Xevo TQ-XS タンデム四重極質量分析計を用いて、MS による検出と定量を行いました。図 1 に、この評価に使用した LLE-SPE サンプル前処理および LC-MS 分析に使用したウォーターズのシステムおよび製品を示します。詳細についてはアプリケーションノート 720007019JA に記載されています。 

図 1. バイオアナリシスにおけるオリゴヌクレオチド定量:ウォーターズのツール 

標準 ACQUITY Oligonucleotide C18 カラムおよび標準 ACQUITY UPLC システムと、ACQUITY PREMIER カラムおよび ACQUITY PREMIER システムを比較したところ、オリゴヌクレオチドの回収率(ピーク面積/高さ)の改善が見られました。GEM91 および 20 mer オリゴデオキシチミジンの結果をそれぞれ図 2 および図 3 に示しました。最大の累積回収率の改善(> 12 倍)は、完全にホスホロチオエート化したオリゴヌクレオチド(GEM91)について見られました。評価したすべてのオリゴヌクレオチドでピークテーリングの低減が見られましたが、ACQUITY PREMIER カラムを組み込んだ場合、35 mer のオリゴデオキシチミジンについては、ACQUITY PREMIER システムをACQUITY PREMIER カラムと組み合わせて使用した場合に最も顕著な改善が見られました(図 4)。 

図 2. 標準 ACQUITY UPLC I-Class システムおよび標準 UPLC カラムと比較した場合の、ACQUITY PREMIER システムおよび ACQUITY PREMIER カラムによる、GEM91 についてのクロマトグラフィー性能の改善 
図 3. 標準 ACQUITY UPLC I-Class システムおよび標準 UPLC カラムと比較した場合の、ACQUITY PREMIER システムおよび ACQUITY PREMIER カラムによる、20 mer オリゴデオキシチミジンについてのクロマトグラフィー性能の改善 
図 4. 標準の ACQUITY UPLC I-Class システムを用いた場合と比較した、ACQUITY PREMIER システムを用いた場合の 35 mer オリゴデオキシチミジンのピーク形状の改善 

低分子バイオアナリシスの分析法開発ガイダンス1,2に従って開発したアッセイは、直線性(相関係数(R2)0.98以上)、正確度(±15%)および精度(±15%)が実証されている必要があります。これらの基準は ACQUITY PREMIER カラムおよび標準的な ACQUITY UPLC システム(図 5A)を用いて達成されました。またこのアッセイは、スパイク済み抽出血漿において 50 ng/mL という定量下限(LLOQ)を達成しました(図 6)。  ACQUITY PREMIER システムを ACQUITY PREMIER カラムと組み合わせて用いると、GEM91 の定量性能が更に向上しました(図 5B)。検量線レベル全体にわたって、直線性(R 2)は 0.996 から 0.999 に向上し、再現性(RSD)範囲は、標準 ACQUITY UPLC システムを使用した場合の 3.8 ~ 29.5% から、ACQUITY PREMIER システムを使用した場合の 0.95 ~ 7.2% に改善されました。ACQUITY PREMIER システムと ACQUITY PREMIER カラムを使用した GEM91 の定量性能の改善(正確度と精度)を、個々のキャリブレーション標準試料について図 7 に示します。 

図 5. 定量性能の改善。スパイク済み抽出血漿からの GEM91 の定量における ACQUITY UPLC I-Class(A)と ACQUITY PREMIER(B)システムの比較 
図 6. GEM91 の高感度な定量および検出。ACQUITY PREMIER システムおよび ACQUITY PREMIER カラムを使用して、スパイク済み抽出血漿について 50 ng/mL の定量下限を達成。 
図 7. ACQUITY PREMIER システムと ACQUITY PREMIER カラムを用いた、スパイク済み抽出血漿における GEM91 の検量線の正確度および精度の向上

結論

ACQUITY PREMIER システムおよび ACQUITY PREMIER カラムの使用により、オリゴデオキシチミジンおよび GEM91 オリゴヌクレオチドの高感度な定量 MRM メソッドの開発が可能になり、抽出血漿においてそれぞれ 0.025 nmol/mL および 50 ng/mL の LLOQ を達成しました。ACQUITY PREMIER テクノロジーにより、定量性能が大幅に向上し、感度、直線性(R2 0.999 以上)が改善しました。また、正確度の範囲は 90 ~ 119%、ダイナミックレンジの平均 RSD は 0.95 ~ 7.2% まで向上し、非常に正確で高精度かつ再現性の高い分析法であることが示されました。この概念実証法は、創薬および研究をサポートするオリゴヌクレオチドの正確な定量において、きわめて有望であることが示されました。  

参考文献

  1. Viswanathan CT, Bansal S, Booth B, DeStefano AJ, Rose MJ, Sailstad J, Shah VP, Skelly JP, Swann PG, Weiner R. Quantitative Bioanalytical Methods Validation and Implementation: Best Practices for Chromatographic and Ligand Binding Assays.Pharm.Res.2007, 24, 1962–1973. 
  2. Bansal S, DeStefano A. Key Elements of Bioanalytical Method Validation for Small Molecules.AAPS J. 2007, 9, E109–114. 

720007119JA、2021 年 1 月

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