• アプリケーションノート

UltraPerformance コンバージェンスクロマトグラフィーを用いたカンナビノイドの分離

UltraPerformance コンバージェンスクロマトグラフィーを用いたカンナビノイドの分離

  • Alyssa Loo
  • Chantel Lee
  • Waters Corporation
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法中毒学目的のみに使用してください。

要約

カンナビノイドに対する関心の高まりとともに、厳格な規制要件を満たすために、カンナビノイドを分離できる分析法に対する需要が高まっています1。カンナビノイド検査のための分析法においてコンセンサスが欠如していることから、科学者により高度なテクノロジーが模索されています。このテクニカルブリーフでは、UltraPerformance コンバージェンスクロマトグラフィーテクノロジーに基づいて、7 種のカンナビノイドを 10 分以内に適切に分離できる方法について記載します。開発された分析法では、Viridis BEH 2-EP カラムを使用し、溶媒廃液がそれほど生じない CO2 を移動相として用いることで、再現性に優れた環境に優しい代替手段を提供しています。これにより、この分析法は逆相液体クロマトグラフィーに対する有用な補完分析になります。

アプリケーションのメリット

  • 逆相液体クロマトグラフィーを補完する分離
  • 広い極性範囲にわたるグラジエントにより、完全な検出機能を提供
  • 溶媒廃液が少ない、環境に配慮したテクノロジー
  • 分離度 1.4 を超える分離

はじめに

ここ 10 年間、大麻(マリファナとも呼ばれる)を医療および娯楽目的で使用するための合法化が着実に進んできました。そのため、大麻に含まれる化学物質であるカンナビノイドは、世界中の科学者によって広く研究されています。カンナビノイドに対するこのような関心の高まりとともに、目的の成分を分離して定量できる分析手法に対する大きな需要が生まれました。

様々なカンナビノイドの分析に、これまで主に逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)が使用されてきましたが2,3、近年、質量分析と組み合わせた液体クロマトグラフィー(LC-MS)を使用してこれらの物質を分析する傾向も高まっています4。この方法では、共溶出化合物に対して UV 検出のみを用いる場合よりも高い選択性が得られます。

液体クロマトグラフィーの使用以外に、カンナビノイドの補完分析として UltraPerformance コンバージェンスクロマトグラフィー(UPC2)が検討されました。2 μm 以下の粒子のカラムや各種検出器と併用することで、UPC2 により迅速な検出および分離が可能になります。UPC2 は、圧縮 CO2 を主要な移動相として使用する総合的に設計されたクロマトグラフィー技術で、順相クロマトグラフィーの原理を活用することで幅広い選択性を実現する一方、逆相 LC の使いやすさを備えており、分析法開発を容易に行うことができます。そのため、溶出の保持順序は通常、逆相 LC の逆であり、この補完性が複雑なマトリックス中で同定された分析種を確認するのに有益です。

このアプリケーションブリーフでは、ACQUITY UPC2 と PDA を使用して、7 種のカンナビノイドを 10 分未満で分離する分析法の開発について紹介します。

実験方法

装置メソッド

装置:

ACQUITY PDA 検出器搭載 ACQUITY UPC2

ソフトウェア:

Empower 3

カラム:

Viridis BEH 2-EP 130 Å、100 × 3.0、1.7 μm

カラム温度:

50 ℃

サンプル温度:

5 ℃

ABPR:

2000 psi

PDA チャンネル:

228 nm

移動相

A:二酸化炭素、B: メタノール:エタノール(1:1)でのグラジエント溶出

分析時間:

10 分

注入量:

1 μL

グラジエント

結果および考察

7 種類のカンナビノイド標準品 Δ9-THC、Δ8-THC、CBC、CBD、CBN、CBG および THCA をメタノールに溶解し(図 1)、繰り返し分析しました(n=6)。これらのカンナビノイドの分離を、二酸化炭素(CO2)およびメタノール・エタノール混合物のグラジエント溶出を用いて、ACQUITY UPC2 PDA 検出器を搭載した ACQUITY UPC2 システムを用いて 10 分間で行いました。

目的の 7 種のカンナビノイドの化学構造と濃度
図 1. 目的の 7 種のカンナビノイドの化学構造と濃度

この分離には、Viridis BEH 2-EP カラム(製品番号 186006581)を使用しました。2-エチルピリジン(2-EP)によるエチレン架橋ハイブリッド(BEH)で構成されるカラム固定相により、UPC2 条件下でカンナビノイドの分離と保持に適したクロマトグラフィー特性が得られます(図 2)。

UPC2-PDA による 7 種のカンナビノイドのグラジエント分離
図 2. UPC2-PDA による 7 種のカンナビノイドのグラジエント分離

提案された方法により、単一の分析法で 7 種のカンナビノイドの優れたクロマトグラフィー分離と保持が得られます。目的のピークが十分に分離されており、近接して溶出するアキラルの Δ9-THC と Δ8-THC のピーク分離度は 1.40 を超え、残りのカンナビノイドのピーク分離度は 1.65 を超えています(図 3)。

7 種のカンナビノイド標準品の 6 回の繰り返し注入の重ね描き
図 3.  7 種のカンナビノイド標準品の 6 回の繰り返し注入の重ね描き

すべてのカンナビノイド分析種の 6 回の繰り返し注入にわたる優れた面積再現性(RSD 0.3% ~ 0.7%)により、目的のカンナビノイドを分析する際の ACQUITY UPC2-PDA システムの優れた安定性と高い精度(注入量 1 µL)が実証されました。この分析法では、保持時間の安定性も ± 0.05 分です。

結論

カンナビノイド Δ9-THC、Δ8-THC、CBC、CBD、CBN、CBG および THCA の検出のための ACQUITY UPC2-PDA 分析法が開発されました。7 種のカンナビノイドについて優れた再現性と良好な分離が示されています。カンナビノイドについての Viridis カラムの保持力と、ACQUITY UPC2-PDA システムの分離能を組み合わせることで、カンナビノイドの従来の RPLC-PDA 分析を補完する効率的かつ迅速な分離が得られます。これは、従来の RPLC 分離を使用する場合に共溶出する可能性のある物質に対処できる戦略となります。

参考文献

  1. Regulation of Cannabis and Cannabis-Derived Products, Including Cannabidiol (CBD) https://www.fda.gov/news-events/public-health-focus/fda-regulation-cannabis-and-cannabis-derived-products-including-cannabidiol-cbd.
  2. UPLC Separation for the Analysis of Cannabinoid Content in Cannabis Flower and extras 720006509EN.
  3. Separation of 16 Cannabinoids in Cannabis Flower and Extracts Using a Reversed-Phase Isocratic HPLC Method 720006426EN.
  4. Screening for Cannabinoids Using the Waters Forensic Toxicology Application Solution with UNIFI 720005413EN.

720007230JA、2021 年 4 月

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