• アプリケーションノート

品質管理標準試料のルーチン注入を用いたバイオアナリシスワークフローでのデータ品質とカラム性能の確保

品質管理標準試料のルーチン注入を用いたバイオアナリシスワークフローでのデータ品質とカラム性能の確保

  • Kenneth D. Berthelette
  • Thomas Walter
  • Paula Orens
  • Kim Haynes
  • Waters Corporation

要約

クロマトグラフィーカラムは、適切にメンテナンスすれば、数百回~数千回の注入に使用できます。ただし、どのように適切にメンテナンスしても、カラム性能は最終的に失われます。低性能のカラムでは、不合格の結果が生成され、コストの高いやり直しが発生します。カラムの寿命を追跡するために、性能標準試料のルーチン注入を使用できます。この研究では、品質管理標準資料(QCRM)を使用して、除タンパク済みの血漿サンプルの試験全体でのカラム性能のモニタリングを行いました。 

アプリケーションのメリット

  • カラム性能を日常的にモニターして、高品質のデータを確保する
  • カラム寿命のリアルタイムフィードバック

はじめに

ルーチンのバイオアナリシス分析でのデータの品質を確認することは、困難だがやりがいのある努力です。合否基準と合わせてシステム適合性注入は適切な出発点であり、製薬業界で長年にわたって使用されています。ただし、システム適合性注入は、通常はサンプル注入の前に実行し、分析開始時にシステムが適切に動作しているかのみをテストします。分析者が交代勤務時間内に 96 ウェルプレートのサンプルを分析しなければならないとしましょう。分析開始時に、システム適合性要件に合格していても、途中でシステムが「故障」して不正確な結果が発生し、データを解析するまで故障の発生が示されない場合があります。このような場合であっても、サンプルの分析がもともと困難であるため、データ解析で見つかった不良結果は、さまざまな要因によって引き起こされることがあり、必ずしもシステム故障によるものではないことがあります。 

結果および考察

システム適合性注入をより頻繁に行い、結果を比較することで、分析者はデータセット全体にわたってシステムが適切に動作していたことを確認できます。これにより、データの信頼性が高まり、不良結果の原因から LC システムの誤動作を排除できます。システムのルーチンチェックを実施することにより、カラムの性能の追跡も可能になり、分析者はカラムの不具合が発生する時期を予測できるようになります。注入頻度は、分析者またはラボのマネージャーの裁量で決定する必要があります。不合格の注入からのデータも、システムのトラブルシューティングに役立てて、ダウンタイムを減らすことができます。最後に、システム性能のチェックでの標準試料の使用は、実行中の分析とは独立して実施することができ、さまざまな分析およびシステムで同じ標準試料および条件を使用できます。図 1 には、サンプル分析の前後で行った標準試料注入の結果例を示しています。 

除タンパク済み血漿の 25 回注入の前後の QCRM の注入。
図 1. 除タンパク済み血漿の 25 回注入の前後の QCRM(品質管理標準試料)の注入

結論

この研究で使用した標準試料は、LC-MS システムのテスト用に設計された Quad LCMS 品質管理標準試料(QCRM)です。この標準試料には、ポジティブモードおよびネガティブモードの両方でイオン化するさまざまな化合物が含まれており、汎用 LC 溶媒および条件が使用されます。除タンパク済み血漿サンプルの 900 回の注入にわたって、25 回の注入おきに標準試料を注入しました。この頻度は分析者が決定したものであり、すべてのラボには適していない可能性があります。テスト開始前に、QCRM を使用して、システム性能のベンチマークを作成しました。これはシステム故障時のトラブルシューティングで使用します。これらのチェックをすべて採用することにより、得られた結果が正確かどうかに関わらず、システムの不具合が原因ではないことを確信する上、カラム性能をチェックしながら血漿の分析を行うことができます。 

720007034JA、2020 年 10 月

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