法中毒学目的のみに使用してください。
このアプリケーションブリーフでは、保管口腔液中の低 pg/mL 濃度の cTHC 分析用のシンプルな UPLC-MS/MS 分析法について説明します。この分析法は、さまざまな法医学または路上薬物検査スキームをサポートする確認分析に使用することができます。
Quantisal 口腔液採取デバイスで採取した口腔液中の cTHC を測定するための、シンプルで高感度の UPLC-MS/MS 分析法。
口腔液中の低濃度薬物の分析は、世界中の多くの法医学ラボにおける重要な要件になっています。法医学および路上検査用の生体マトリックスとして口腔液を使用することが、ここ 10 年で非常に一般的になりました。口腔液中の薬物の有無は、尿中で測定する場合よりも、現在の障害や中毒のより適切な指標になり、一部の薬物物質については、口腔液中の濃度が血中循環レベルを示す便利なマーカーになります。口腔液採取は非侵襲的な手法であり、尿の採取に伴うプライバシーや混入の問題なしに行えます。また、血液サンプルとは異なり、サンプル採取には医学的訓練を受けた担当者は不要です。Quantisal 口腔液採取デバイス(Immunalysis、米国)を使用すると、1 mL のサンプルを安定化バッファー中に採取することができます。これにより、ラボへの輸送中のサンプルの安定性が高まります。
大麻は世界中で最も広く使用されている違法薬物であり、長期間使用すると薬物依存につながる可能性があります。カンナビノイドは、最も一般的に検出される種類の違法薬物の 1 つです。したがって、これらの薬物の分析は、法医学検査において非常に重要です。
Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)は、大麻中に存在する主要な向精神性成分であり、これらから 11-ノル-9-カルボキシ-Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(cTHC)などの多くの代謝物が生じます。口腔液中の cTHC を測定することの利点は、cTHC が大麻の煙からは検出されないため、能動的な大麻摂取を立証できることです。したがって、この代謝物をモニターすることで、大麻の能動的摂取と環境中の大麻煙への受動的曝露を区別するのに役立ちます。ただし、この代謝物は通常わずか低 pg/mL 濃度でしか存在しないために分析が困難であり、高感度の分析手法が必要となります。
コントロールの口腔液は、Quantisal 口腔液採取デバイスを使用して、メーカーの使用説明書に従って採取し保存しました。採取した口腔液をデバイス内のバッファーに添加すると、4 倍に希釈されると一般に考えられています。このテクニカルブリーフに記載している濃度は、ニート口腔液中濃度に基づいています。採取後、サンプルを 4 ℃ で少なくとも 24 時間保存してから分析しました。
コントロールの保管口腔液に、ニート口腔液中 20 pg/mL 相当の濃度になるようにスパイクしました。液-液抽出メソッドを使用して、サンプルから cTHC を抽出しました。cTHC を含む有機層を蒸発させた後、このサンプルを 50% アセトニトリル中に再溶解しました。
25 µL のサンプルを分析できるように、ACQUITY UPLC I-Class FTN に 50 µL 拡張ループを取り付けました。CORTECS C18 カラムで水/アセトニトリルのグラジエントを使用して cTHC を分離しました。
cTHC のモニタリングに用いた MRM トランジションは、343.2 > 245.2(定量)および 191.1(定性)でした。内部標準(cTHC-d3)は、トランジション 346.2 > 248.2 を使用してモニターしました。
このテクノロジーブリーフでは、Xevo TQ-S micro を ACQUITY UPLC I-Class システムと組み合わせて使用して、非常に低濃度の cTHC を検出しました。
コントロール(ブランク)の保管口腔液抽出物とスパイク済み保管口腔液抽出物の比較を図 1 に示します。図には、両方のサンプルについて、スムージングおよび波形解析した MRM トレースを示しています。
スパイクサンプルの両方の MRM トランジションのシグナル対ノイズ比(スムージングしていない生データでのピーク間)を、同等濃度のマトリックスを含まない標準試料のシグナルとともに図 2 に示します。
法医学および路上薬物検査における口腔液の使用が増加していることから、この頻繁に使用される生体マトリックス中の違法薬物を定量するための、迅速で高感度、かつ正確で信頼性が高い頑健な分析法の必要性が浮き彫りになりました。保管口腔液を使用することで、このような試験スキームで一般的に測定される分析種を含むマトリックスを、監視下で非侵襲的に簡単に採取することができます。
Xevo TQ-S micro は、保管口腔液中の低 pg/mL 濃度の cTHC を検出するのに必要な分析感度があることが実証されました。
720005944JA、2017 年 3 月