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このアプリケーションノートではXevo TQ-XSを用いた臨床研究におけるアルドステロン高感度分析をXevo TQ-Sと比較して紹介しています。
Xevo TQ-S と比較して、Xevo TQ-XS は血漿中のアルドステロンの分析感度を大幅に向上します。
アルドステロンは、副腎皮質の球状体から分泌される鉱質コルチコイドステロイドホルモンです。アルドステロン生成の評価は、アルドステロン合成酵素(CYP11B2)阻害剤の臨床薬理研究試験時に行われます。アルドステロンの血漿中濃度は低く(<25 pg/mL)、そのことが正確性と精度の要件を満たす測定を困難にしています。
Xevo TQ-XS(図 1)は、進化したベンチトップ型のタンデム四重極型質量分析計で、超高感度分析の適用範囲を拡大するものです。StepWave XS イオン輸送光学系によって、分析感度、頑健性、信頼性を向上できる点が特長です。さらに、新しい Xtended Dynamic Range(XDR)検出器によって、6 桁ものダイナミックレンジを実現します。これにより、1 回の分析で測定可能な濃度範囲が拡がり、この装置へのメソッド移管も容易になっています。
ここでは、血漿中のアルドステロンの LC-MS/MS 分析における感度と精度を大幅に改善するために、Xevo TQ-XS を用いました。
血漿サンプルは硫酸亜鉛/メタノールを用いて除タンパクした後、リン酸バッファーで希釈してから Oasis™ MAX µElution プレートにロードしました。リン酸、アンモニアを添加した 10% メタノール水溶液、水を用いて順次洗浄を行い、70% メタノール水溶液で溶出しました。サンプルは水で希釈して分析しました。
サンプルは、CORTECS C18 カラムと、水およびメタノールの系のグラジエントを使用する ACQUITY UPLC I-Class システムへインジェクションしました。なお、Xevo TQ-S および Xevo TQ-XS の評価のために、同一の UPLC システムおよび溶媒を用いています。
アルドステロンのモニターに用いた MRM トランジッションは、359.2 > 189.0(定量)および 297.2(定性)です。また内部標準には、aldosterone-⁴H2 を使用し、MRM トランジッションは、363.2 > 190.0 としました。
質量の単位(pg/mL)から SI 単位(pmol/L)への変換には、2.774 を乗算しました。
1 pg/mL のアルドステロン溶液を用いて、Xevo TQ-XS システムにおける分析感度の改善を確認しました(図 2)。分析感度の改善は、この濃度におけるピーク面積値の再現精度を大きく改善することにもつながりました(<2% RSD, n=3)。
低濃度の検量線用の血清添加標準溶液を用いて、各システムで 3 日間、LC-MS/MS メソッドの評価を行いました。この評価は、3 日に分けてサンプル抽出と Xevo TQ-XS および Xevo TQ-S 両方の装置における注入再現性を検証するものです(図 3)。
アルドステロンの血漿抽出物を用いた評価では、血漿中の内因性のアルドステロンを分析するために Xevo TQ-XS を使用することによる分析感度の改善を確認しました(図 4)。
LC-MS/MS メソッド全体の再現精度を Xevo TQ-XS および Xevo TQ-S で、3 日間、21、42、174 および 669 pg/mL の濃度を各日 10 回ずつ(n=30)繰り返し分析しました。Xevo TQ-XS による精度の改善状況は、表 1 に示しました。
臨床研究のためのアルドステロン分析の LC-MS/MS メソッドのパフォーマンスが、Xevo TQ-XS によって著しく向上することが確認されました。
このシステムをアルドステロンの分析に使用する利点は以下の通りです:
720005728JA、2016 年 6 月