農産物保護に作用する成分に 1 か所以上の不斉中心がある場合、エナンチオマーが異なる生物活性を示す可能性があることが知られているため、エナンチオ選択的な挙動について研究しておく必要があります。減衰動態、環境運命および最終的な残留濃度におけるステレオケミストリーの影響を評価するために用いられる分析メソッドが、農産物保護製品のより精度の高いリスクアセスメント達成の助けとなります。
ここでは、ACQUITY UPC2 システムと Xevo TQ-XS 質量分析計に UniSpray を接続した場合に、トリアゾール系殺菌剤のモデル分析を考えた場合のピークのレスポンス、繰り返し再現性およびシグナル対ノイズ(S/N)比が、ESI と比べて改善するかを評価しています。
農産物保護に作用する成分に 1 か所以上の不斉中心がある場合、エナンチオマーが異なる生物活性を示す可能性があることが知られているため、エナンチオ選択的な挙動について研究しておく必要があります。減衰動態、環境運命および最終的な残留濃度におけるステレオケミストリーの影響を評価するために用いられる分析メソッドが、農産物保護製品のより精度の高いリスクアセスメント達成の助けとなります。
UniSpray は、プローブ設計がシンプルな新しいイオン源で、より幅広い特性の化合物をカバーするために用いることができます。ESI と比べて高いイオン化効率と同等の頑健性と直線性があり、従来のイオン化モードと同様のスペクトルを得られます。
幅広い化合物のスクリーニングを高いイオン化効率で行うことができるため、メソッド開発の見通しがつきやすくなります。
UniSpray にはグラウンドプローブ、そして高電圧が印加されたステンレス製のピンがあります。液体の流れは、霧状のスプレーとなり、ステンレス製のターゲットピンに吹き付けられることで(図 1)、電荷を帯びた微細な液滴を生成し、質量分析計のイオン導入部であるオリフィスへと向かいます。イオンは、質量分析計の最初の真空引きによってサンプリングされます。脱溶媒効率と液滴の蒸発効率が改善することで、イオン化効率が向上しています。
Xevo TQ-XS は高いパフォーマンスのタンデム四重極型質量分析計で、農産物や土壌のように複雑なマトリックス中に微量に含まれる化合物の検出に理想的な、極めて高い信頼性、再現性、特異性および選択性を提供します。
UltraPerformance Convergence Chromatography(UPC2)は、CO2 を移動相ラインの初期溶媒として使用し、順相 LC と同様の選択性を与えるアセトニトリルやメタノールを共溶媒として用いる分離技術です。MRM トランジッションおよび MS のパラメーターは、分析する化合物ごとに最適化します。Trefoil AMY1、2.5 µm カラムを接続した ACQUITY UPC2 の分離パラメーターは、1 分析 7 分でトリアゾール系殺菌剤のキラル分離ができるように最適化しました(図 2)。QuEChERS による抽出の後、Oasis MCX を用いた固相抽出による精製を行い、作成した MS および UPC2 の条件で UniSpray および ESI の各モードで、サンプル抽出物と標準品を分析しました。
ACQUITY UPC2 および Xevo TQ-XS に UniSpray を接続してトリアゾール系殺菌剤の標準溶液を分析したところ、ESI の結果と比べてピーク面積が 4.4 倍、S/N が 1.4 倍となり、さらに再現性が 1.8 倍改善することが確認されました。
図 2 に示すように、麦わらマトリックスへのトリアゾール系殺菌剤混合標準の 10 ng/mL 添加試験では、全く同じ条件下で UniSpray イオン源の方が、ESI と比べてシグナル強度が 2~5 倍程度強いことを確認しました。
新しいイオン源である UniSpray は以下を提供します:
720005759JA、2016 年 9 月