理化学研究所ら、ウォーターズの質量分析計で「抗体-薬物複合体」の新合成法を開発

速報 (For Immediate Release)

東京 - 日本 - April 16, 2019

理化学研究所(理研)開拓研究本部伊藤細胞制御化学研究室の眞鍋史乃専任研究員と山口芳樹客員研究員、株式会社伏見製薬所の伏見豊社長、国立がん研究センターの松村保広分野長らの共同研究グループは、ウォーターズの UPLC と QTof 型質量分析計 (ACQUITY UPLC I-Class Xevo G2-XS QTof および SYNAPT G2-Si HDMS) およびデータ解析インフォマティクス UNIFI を活用して、抗体の糖鎖構造を改変しつつ糖鎖部分に薬物を選択的に結合させた均一な構造の「抗体-薬物複合体 (ADC) 」を作製する手法を新規開発しました。

抗体医薬の一種である ADC は、抗体の特異性により効果的に薬物をがん組織に運び、酵素依存的または徐々に薬物を放出するため、副作用の少ない医薬品として期待される一方、現在使用されている ADC は、抗体に結合する薬物の数や位置が異なる複数の化学種から構成されており、薬物動態や再現性などの観点から、均一な構造の ADC の合成法が求められていました。今回、共同研究チームは、糖鎖加水分解酵素とその改変体を組み合わせることにより、均一な構造の ADC を作製できる手法を新開発しました。UPLC/QTof システムから得られる詳細なデータ解析に基づく反応条件の最適化により、糖鎖の付加の過程で起こる副反応を抑えることが可能となりました。この際、糖鎖の改変が正確に行えている事を確認するために、糖鎖構造に基づく分離が行える糖タンパク質専用のカラム (ACQUITY UPLC Glycoprotein BEH Amide) が用いられました。また、抗体に結合した糖鎖の数を確認するためにインタクトタンパク質用脱塩カラム (MassPREP micro desalting column)、ならびに結合の場所を特定するために ADC を酵素消化したペプチドを分離する専用カラム (ACQUITY UPLC Peptide BEH300) がそれぞれ用いられ、均一構造 ADC 作成に寄与しました。これにより、薬物動態、安全性、再現性に優れた ADC の製造への貢献が期待されています。

本研究は、米国化学会の科学雑誌『Bioconjugate Chem』のオンライン版(2019年4月2日付け)に掲載されました。

 

 

関連資料
抗体薬物複合体 (ADC) の分析 - 各種資料
Xevo G2-XS QTof カタログ
バイオセパレーションアプリケーションノート集:バイオ医薬品分析のためのツール、テクニック、および洞察
UNIFI バイオ医薬品プラットホームソリューション
GlycoWorks RapiFluor-MS N-Glycan キット - 糖鎖解析

 

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