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精製化合物の単離

分離法を開発し、目的のスケールにスケールアップしたら、最終ステップとして、目的化合物を単離または回収します。フラクションは使用者がピーク溶出をモニタリングしながらマニュアルで分取することもできますし、検出器シグナルや保持時間に基づいて自動的に分取することもできます。


図41. 精製化合物の単離のためのワークフロー



フラクションディレイタイム

フラクション分取は、使用者が定義した分取トリガーの設定を満たすピークを検出器が確認すると行われます。検出器がピークを確認した瞬間は、そのピークはまだフラクションコレクターには到達していません。フラクションコレクターの回収動作が早すぎると、フラクションコレクターはピークを回収できません。フラクション分取のタイミングを正確に決定するため、システム特有のフラクションディレイタイムを必ず事前に決定しなければなりません。ディレイタイム測定方法の1つは、濃縮色素を注入して検出器で確認されてからフラクションコレクターに到達するまでの時間を比較します。フラクションディレイタイムの測定方法は通常一度実施することで、ソフトウェアに入力すればあらゆる流量で再計算できます。フロースプリッターが追加された場合など検出器からフラクションコレクターまでの流路に変更が加えられた場合には、フラクションディレイタイムを必ず再度測定しなければなりません。


図42. フラクションディレイタイムに影響を及ぼすシステムのコンポーネント
(点線で囲まれた部分)



マニュアル分取

マニュアル分取は非常に単純で簡単です。化合物が溶出している時に使用者自身がフラクションコレクターのバルブを切り替え、オンラインのソフトウェアのリアルタイムシグナルプロットで視覚的にモニタリングします。マニュアル分取では、目的の部分のみが回収されるため非常に高い柔軟性が得られますが、自動ではないためスループットは低くなります。



ピークに基づくフラクション分取

ピーク分取は、検出器シグナルに基づいてフラクションを自動的に回収する方法です。クロマトグラム中のピークがフラクションコレクターをトリガーすべきかどうかを決定するのに使用されるパラメーターは通常、ピーク高さ、しきい値および傾きのいずれかまたはその組み合わせです。

最も一般的なピークに基づくフラクションの分取の方法は、高さまたはしきい値に基づきます。シグナルが所定の検出器で設定した高さに達すると直ちにフラクションコレクターがトリガーされます。シグナルが設定した高さを下回ると、分取動作が停止します。

傾きに基づくフラクション分取はより複雑な分取法ですが、ベースラインで分離されないピークの分取に使用できます。傾きに基づいて分取する際、クロマトグラムの一次導関数で検出された変曲点においてソフトウェアが自動的にフラクション回収をトリガーします。


図43. ピークに基づくフラクション分取



質量検出によるフラクション分取(MSトリガー分取)

質量情報に基づくフラクション分取では、使用者が定義した目的の質量を持つ化合物のみが回 収されます。そのため、質量情報に基づく分取はピークに基づく分取よりさらに効率的です。 質量情報に基づくフラクション分取の要件を以下にまとめます:

  • 化合物の分子量は必ず分かっていなければなりません。
  • 質量検出のため化合物は必ずイオン化されなければなりません。


図44. 質量情報に基づくフラクション分取(MSトリガー分取)



フラクション分析

フラクションが分取されたら、分取容器中から直接分析したり、精製化合物を得るために溶媒を除去したりできます。ロータリーエバポレーターを使用してフラクションを蒸発乾固できます。ロータリーエバポレーターでは、溶媒をサンプルから蒸発させ、水分を凍結乾燥させます。無機バッファーを使用していた場合や水分が著しく多い場合は、フラクションを逆相SPEカートリッジに通過させて目的化合物をSPEカートリッジに保持できます(脱塩と呼ばれます)。保持された化合物は、少量の有機溶媒で溶出され、この溶媒は簡単に蒸発させて除去することができます¹。


図45. ロータリーエバポレーター



回収率の推定値は、UV、IR、MS、NMR、X線、アッセイ、構造解析などのさまざまなルーチン分析法を用いるフラクション分析により決定することができます。標準物質がある場合には成分を文献データと直接比較することが簡単ですが、目的化合物が未知の場合、純度および安定性プロファイルを確立するために、さまざまな物理的方法、化学的方法および分光法を実施する広範かつ包括的な系統的アプローチが必要になります。

式14: 回収率(%)

単離された成分の分析において、純度、回収率または活性が予測と異なった場合、以下の状況 について評価します:

  • 分取容器から直接試験する際、分取容器内で濃度の偏りがある可能性。その結果、純度結果はサンプルが分取容器のどの位置から取り出されるかに左右されます。正確な結果を得るためには、分析前にサンプルを十分に混和しなければなりません。
  • サンプルがDMSOなどの強溶媒に最もよく溶解し、移動相には溶解しない場合、回収したフラクションが分取容器での保管中に時間が経つと結晶化する可能性。精製と濃度測定のために液相を取り出す場合、結果はその可溶性部分のみとなります。
  • 活性化合物が回収、純度試験および活性試験の時間経過により分解することにより失われる可能性。また、乾燥濃縮プロセス中にも分解する可能性。したがって、活性試験はほぼ必ず乾燥濃縮の前後で実施されます。
  • 活性化合物がカラムに保持されている可能性。
  • 活性化合物は単離プロセスで使用された条件において不安定である可能性。
  • 抽出溶液が移動相と適合性のある溶媒を使用して調製されていなかった場合、析出する可能性。
  • ほとんどの活性化合物が広範なフラクションに広がっているため、フラクションに含まれる化合物が検出不可能な量となっている可能性。
  • 抽出物の活性はクルードサンプルに他の化合物が含まれていることが原因であり、個別には活性がない可能性¹。
  • 近い位置で溶出する不純物が吸収しないUV波長でその成分が回収された場合、その成分の純度が予測ほど高くない可能性。

成分がアプリケーションの純度要件、スループット要件または回収要件の範囲内にない場合、同じ分離法を用いてその成分を再精製するか、異なるカラム選択性を用いて全面的に新しい分離法を開発します。目的の純度、スループットおよび回収を満たすために精製にどのくらいの時間や労力を費やしたいかを決めるのはクロマトグラフィー使用者自身です。



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