有機EL関連材料分析向けソリューション

有機EL素子の構造
Fig.1 有機EL素子の概略図Fig.1 有機EL素子の概略図

有機EL素子の基本構造は、Fig.1のような陽極と陰極で有機発光層(EML)を挟みこんだ構造になっています。EMLにおける発光を外部に放出するために、アノードにはスズがドープされた酸化インジウムのような透明電極(ITO)が使用されています。EMLは、単層から多層の構造の特許が申請されており、多層構造の場合には、各層が各々の役割を担っています。上図の構造は、三層式であり、カソード側から電子輸送層(ETL),EML、ホール輸送層(HTL)から構成されています。電場をかけると陽極(アノード)側からホールが、陰極(カソード)側からは電子が注入され、EMLでそれらが結合する際に生じるエネルギーで発光中心である蛍光性有機化合物が励起され発光します。そのため、高輝度・高効率素子を開発するためには、EMLに対して両キャリアからバランスのとれたホールと電子の注入が必要とされます。  また、この発光層に用いられる有機分子は、低分子と高分子の二つに大別されます。

 

有機化合物の発光機構 (蛍光とりん光)

Fig.2 ヤブロンスキー図
Fig.2は、芳香環を有する化合物のエネルギー状態を示したヤブロンスキー図です。 S0は基底状態を、S1は第1励起一重項状態を、 S2は第2励起一重項状態を、 T1は三重項状態を示しています。輻射遷移の過程では、過剰なエネルギーによって励起状態となった化合物が低いエネルギー状態(安定な基底状態)へ移行する際に、化合物が発光します。第1励起一重項状態から、基底状態への遷移の際の発光が「蛍光」、三重項状態からの発光が「りん光」と定義されています。蛍光は、同じスピン多重度の状態間での電子遷移に伴う発光であり、電子スピンの状態が維持されることから、極めて短い時間となります。これに対し、りん光は異なるスピン多重度の状態間での電子遷移に伴う発光であり、スピン状態が変化することから、本来、禁制遷移であり、この遷移では長い時間が必要となります。すなわち、発光寿命が長くなることを示唆しています。

 

有機EL素子におけるEML有機材料の事例

 

EML材料分析事例
Coumarin 6 を用いた構造解析事例
SYNAPT G2-Si を用いたCoumarin 6の測定事例について紹介します。

Fig.3 Coumarin 6のMSスペクトル

■ MSスペクトル
シングルTof MSモードにて、分子量情報を取得します。Coumarin 6は、エレクトロイオンスプレー(ESI)法によりイオン化し、プロトンが付加した[M+H]+で検出されました。Tof MSでは、mDa単位の精密質量と安定同位体のパターンに関する情報が得られます(Fig.3)。

 

■ 精密質量測定による組成解析
MSスペクトルから組成解析を実行すると、Fig.4の解析結果画面が表示されます。Fig.4における緑の枠は、精密質量精度(実測値と計算値の差)を示しています。精密質量精度と安定同位体のパターンの一致度から組成候補を絞り込むi-Fitは未知の化合物の組成解析に極めて有効な機能です(Fig.4赤枠)。


Fig.4 MSスペクトルからの組成解析結果

 

■ デュアルコリジョンセルによるMS/MS測定
MS/MS測定により断片構造の情報を得る場合、リジッドな構造の化合物に対しては、 衝突誘起解離(CID)におけるエネルギーを高める必要があります。エネルギーを高めることにより、より分子量の小さい断片構造に関する情報を得ることができます。しかし、エネルギーを高めることは、フラグメント生成を促進すると同時にイオンの損失量を増大させるため、感度およびフラグメントイオンの精密質量精度の面で必ずしも十分な手法ではありません。SYNAPT G2-Si では、デュアルコリジョンセルにより、2段階のフラグメンテーションを可能とし、より詳細な情報を効率的に得ることができます(Fig.5)。


Fig.5 Coumarin 6のMS/MSスペクトル

 

EML有機材料の分離分析におけるシステムソリューション
UPLC/FLR(蛍光検出器)
■ 高感度蛍光検出器
■ 蛍光検出におけるスキャン機能
■ 類縁体,異性体分離に最適な超高分離能
■ 分離条件検討に最適な移動相Auto・blend
■ 豊富なカラムバリエーション
■ 収率測定に最適な高い再現性
■ 反応モニタリングに最適な超高速分離

EML有機材料の不純物プロファイリングにおけるシステムソリューション
UPLC/SYNAPT G2-Si (UPLC/四重極・IMS・飛行時間型質量分析計)
■ リジッドな構造の解析に有効なデュアルコリジョンセル
■ 異性体分離に有効なイオンモビィリティー機能搭載
■ 複雑な分子構造推定に有効なTAP フラグメンテーション(フラグメントイオン間帰属)
■ IntelliStartによるオートキャリブレーション機能
■ LockSpray機能による高精度精密質量測定
■ i-Fitによる高精度な組成解析
■ 超高速高分離LCに最適
■ ESCi,APCI/APPI,ASAP,APGC,MALDIに対応

 

 

 

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