本アプリケーションブリーフでは、ディーゼル燃料および石油蒸留物中の単環、2 環、3 環、および多環の芳香族炭化水素含有量の ASTM D6591(IP548)分析法に準拠した測定における、Waters 2414 示差屈折率検出器と組み合わせた Waters Alliance HPLC システムの使用に焦点を当てています。この装置システムのセットアップは、分析法に設定された規準に適合し、直線性、分離能、精度の基準を上回っていることが実証されています。
この高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析法は、ASTM D6591 に準じて、沸点が 150 ~ 400 ℃ の範囲のディーゼル燃料および石油蒸留物中の、単環、2 環、3 環、および多環の芳香族炭化水素含有量の測定を対象にしています1。
排気物質および燃料燃焼特性(セタン価として測定)に影響を与える要因である、モーターディーゼル燃料中の芳香族炭化水素種類の合計レベルを確認することは重要です。モーターディーゼル燃料中の芳香族炭化水素の合計含有量および多環芳香族炭化水素の含有量は、環境規制機関により制限されているため、適切な分析測定を用いてコンプライアンスを示すことが必要となります1。
燃料完成品が安全で規制適合していることを保証するには、芳香族炭化水素の含有量レベルが、ASTM D6591 の分析法で評価され、基準範囲内に収まっている必要があります。
本アプリケーションブリーフでは、Waters 2 ポジション 6 ポート切り替えバルブ、示差屈折率検出器(RID)を搭載し、Empower 3 クロマトグラフィーデータシステムを使用する Alliance HPLC システムで、芳香族炭化水素、順相条件で ASTM D6591 分析法に準拠して測定できることを実証しています。この装置セットアップを使用して、石油蒸留物および航空燃料中の単環および 2 環の芳香族炭化水素含有量の ASTM D6379(IP436) 分析法に準拠した測定も行えます2。
ASTM D6591 に概説されている実験条件に従いました。
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装置: |
Waters Alliance HPLC システム Waters 2414 示差屈折率検出器 Waters 2 ポジション 6 ポート切り替えバルブ |
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ソフトウェア: |
Empower 3 クロマトグラフィーデータシステム |
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カラム: |
Waters Spherisorb Amino(NH2)カラム、80 Å、5 µm、4.6 × 250 mm(製品番号: PSS83115) Waters Spherisorb Amino(NH2)ガードカートリッジ、80 Å、5 µm、4.6 × 10 mm(製品番号:PSS830079) Waters インラインガードカートリッジホルダーキット(製品番号:PSS830008) |
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試薬: |
移動相:ヘプタン(HPLC グレード、Sigma-Aldrich(英国 Dorset)) |
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標準試料: |
1-メチルナフタレン(Sigma-Aldrich(英国 Dorset)) シクロヘキサン o-キシレン フェナントレン ジベンゾチオフェン 9-メチルアントラセン(Merck Biosciences Ltd(英国 Nottingham)) システムパフォーマンス標準試料(SPS):シクロヘキサン(1 g/100 mL、o-キシレン(0.5 g/100 mL)、ジベンゾチオフェン(0.05 g/100 mL)、9-メチルアントラセン(0.05 g/100 ml)が含まれているへプタン |
表 1 に示すように、4 種のキャリブレーション標準試料を作成しました。
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移動相流速: |
1 mL/ 分 |
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注入量: |
10 μL |
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カラム温度: |
30 ℃ |
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RID 温度: |
30 ℃ |
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バックフラッシュ時間 B: |
11.73 分 |
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停止時間: |
30 分 |
システムパフォーマンス標準試料(SPS)はフォワードフラッシュモードのみで注入し、ASTM D6591 基準に沿って分析法のバリデーションを行いました。SPS に含まれるすべての化合物のベースライン分離が達成されており(図 2)、o-キシレンとシクロヘキサンの分離は ASTM の標準レベルを大幅に超えていました。
2 環の芳香族炭化水素(DAH)であるジベンゾチオフェン(tA)、3 環以上の芳香族炭化水素(T+AH)である 9-メチルアントラセン(tB)の保持時間(秒単位)を使用して、バックフラッシュモードに切り替える時間(時間 B)を以下の式を用いて計算することができます。
B = tA + 0.4 (tB-tA)
非芳香族、単環芳香族(MAH)、および DAH 化合物を溶出させるために、キャリブレーション標準試料をフォワードフラッシュモードで注入しました。次に、バルブをオンにして、時間 B にバックフラッシュモードに切り替えて、T+AH 標準試料を単一のシャープなピークとして溶出しました。キャリブラント標準試料の検量線は、定量性について優れた直線性を示し、o-キシレン、1-メチルナフタレン、およびフェナントレンについて、r2 値が 0.999 を超えていました(図 3)。
精度を評価するため、キャリブレーション標準試料 2 の繰り返し注入を行いました。各化合物について、ピーク保持時間およびピーク面積の RSD はそれぞれ、0.03% および 0.5%(MAH)、0.04% および 0.2%(DAH)、0.01% および 0.4%(T+AH)を下回っていました。
実際のサンプルについて装置システムを評価するため、英国のガソリンスタンドで収集したディーゼルサンプルをヘプタン中に 1:10 に希釈し、注入しました。ディーゼル注入のクロマトグラム例(図 4)により、非芳香族、MAH、DAH、T+AH の分離が ASTM D6591 に準拠した定量に対して十分であることが示されました。
Waters 2 ポジション 6 ポート切り替えバルブを備えた Waters Alliance HPLC システムを Waters 2414 示差屈折率検出器と組み合わせることで、中間蒸留物中の芳香族炭化水素の測定における、ASTM D6591(IP548) 標準分析法の適用に必要な性能要件を大幅に上回っていることが示されています。装置のセットアップは、ASTM 標準分析法に適合して、直線性、分離能、精度の基準を満たしており、また、キャリブレーション係数により、芳香族炭化水素の定量に適した優れた直線的なレスポンスが示されます。
720007073JA、2020 年 11 月