• アプリケーションノート

航空燃料および石油蒸留物中の芳香族炭化水素種類の、Alliance HPLC システムおよび RI 検出による ASTM D6379(IP436)に準拠した測定

航空燃料および石油蒸留物中の芳香族炭化水素種類の、Alliance HPLC システムおよび RI 検出による ASTM D6379(IP436)に準拠した測定

  • Rachel Sanig
  • Chris Henry
  • Michael Jones
  • Waters Corporation

要約

本アプリケーションブリーフでは、石油蒸留物および航空燃料中の単環および 2 環の芳香族炭化水素含有量の ASTM D6379(IP436)分析法に準拠した測定における、Waters 2414 示差屈折率検出器を組み合わせた Waters Alliance HPLC システムの使用に焦点を当てています。この装置システムのセットアップは、分析法に設定された仕様に適合し、直線性、分離能、精度の基準を上回っていることが実証されています。

アプリケーションのメリット

  •  広範囲の溶媒種類に適合しており、順相アプリケーションに対応します。
  • ユーザーが交換できる一般的な部品のメンテナンスは工具不要。システムのダウンタイムを最小限に抑えます。
  • 科学文献で最も広く使用されている HPLC カラムの一つを活用します。
  • Empower ソフトウェアを使用した一元管理の分析法、データ、電子承認、レポート作成により、データインテグリティが確保されます。
  • Empower は、パーソナル、ワークグループ、またはエンタープライズの各バージョンにより、お客様のラボの規模に合わせることができます。

はじめに

この高性能液体クロマトグラフィー (HPLC)分析法は、ASTM D6379 に準拠した、50 ~ 300℃ で沸騰する石油蒸留物および航空燃料(Jet A、Jet A-1 など)中の単環および 2 環の芳香族炭化水素内容物の測定を対象としています1

さまざまな燃料完成品製造に対する石油処理の効果を調べるためには、芳香族炭化水素種類の合計レベルを確認することが重要です。これらのレベルは、燃料の品質理解、および完成品の相対的燃焼特性を評価するのに非常に重要です1。そのため、燃料中の芳香族成分レベルについての正確な定量情報を取得し、作動中にしかるべき性能を発揮するようにすることが不可欠です。

燃料完成品が安全で規制適合するようにするには、芳香族炭化水素の含有量レベルを ASTM D6379 の分析法で評価し、基準範囲内に適合している必要があります。

本アプリケーションブリーフでは、示差屈折率検出器(RID)を搭載し、Empower クロマトグラフィーデータシステム(CDS)を使用する Alliance HPLC システムを用いて、芳香族炭化水素を順相条件で ASTM D6379 メソッドに準拠して測定できることを紹介します。

実験方法

ASTM D6379 に概説した実験条件に従いました。

装置:

Alliance HPLC システム

2414 示差屈折率検出器

ソフトウェア:

Empower 3 クロマトグラフィーデータシステム

カラム:

Waters Spherisorb Amino(NH2)カラム、80 Å、5 µm、4.6 × 250 mm(製品番号: PSS831115

Waters Spherisorb Amino(NH2)ガードカートリッジ、80 Å、5 µm、4.6 × 10 mm(製品番号:PSS830079

Waters インラインガードカートリッジホルダーキット(製品番号:PSS830008

試薬(移動相):

ヘプタン(HPLC グレード、Sigma-Aldrich(英国 Dorset))

標準試料:

シクロヘキサン(Merck Biosciences Ltd(英国 Nottingham))

o-キシレン(Merck Biosciences Ltd(英国 Nottingham))

1-メチルナフタレン(Sigma-Aldrich(英国 Dorset))

システム分離標準試料(SRS)および 4 種類のキャリブレーション標準試料は、
表 1 に示したように作成しました。

 

分析条件

移動相流速:

1 mL/ 分

サンプル注入量:

10 µL

カラム温度:

30 ℃

RID 温度:

30 ℃

停止時間:

15 分

キャリブレーション標準試料

表 1. SRS およびキャリブレーション標準試料中の分析種の濃度

結果および考察

システム分離標準試料(SRS)を注入し、ASTM D6379 基準に従って分析法をバリデーションしました。飽和化合物(シクロヘキサン、3.35 分)の単環および 2 環の芳香族化合物(o-キシレン、5.82 分、およ 1-メチルナフタレン、8.24 分)からのベースライン分離が達成されました(図 1)。o-キシレンとシクロヘキサン、および o-キシレンと 1-メチルナフタレンの間の分離は、いずれも ASTM 標準レベルを大きく超えていました。

図 1. ヘプタン中のシステム分離標準試料(SRS)のクロマトグラム

キャリブラント標準試料の検量線は、定量性について良好な直線性を示し、o-キシレンおよび 1-メチルナフタレンの両方について r2 値が 0.999 を超えていました(図 2 および図 3)。

図 2. o-キシレンの検量線
図 3. 1-メチルナフタレンの検量線

精度を評価するため、SRS の繰り返し注入を行いました。各化合物に対して、ピーク保持時間およびピーク面積の RSD は、それぞれ 0.1% 未満および 0.6% 未満でした。

実際のサンプルに対して装置システムを評価するため、Jet-A 燃料(アカデミア機関の共同研究者より提供)をヘプタン中に 1:10 に希釈して注入しました。Jet-A 燃料注入のクロマトグラム例(図 4)により、飽和化合物、単環芳香族炭化水素、2 環芳香族炭化水素の分離が ASTM D6379 に準拠した定量として十分であることがわかります。

図 4. 予測される芳香族炭化水素種類群の統合点を示す Jet A-1 サンプルの注入

結論

Waters 2414 示差屈折率検出器を組み合わせた Waters Alliance HPLC システムは、航空燃料および石油蒸留物中の芳香族炭化水素の測定における、ASTM D6379(IP 436)標準分析法の適用という目的に適合していることがわかります。装置のセットアップによって、ASTM 標準分析法に適合することが実証され、直線性、分離能、精度の基準を満たしており、キャリブレーション係数が芳香族炭化水素の定量に適した良好で直線的なレスポンスを示します。

参考文献

  1. American Society for Testing and Materials (ASTM): ASTM D6379 – 11, Standard Test Method for Determination of Aromatic Hydrocarbon Types in Aviation Fuels and Petroleum Distillates – High Performance Liquid Chromatography Method with Refractive Index Detection, https://www.astm.org/Standards/D6379.htm.

720006977JA、2020 年 8 月

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