日新製薬株式会社様

Users Voice お客様活用事例トピックス

日新製薬株式会社 企画開発部 開発課
主任 清野 真生様、飯澤 紘紀様、主事 高野 佳奈様にお話を伺いました。

 

―お忙しい中、お時間をいただきましてありがとうございます。最初に、日新製薬様の会社のご紹介と、皆様の部署についてご紹介をいただきたいと思います。

清野様(以下敬称略): 日新製薬はジェネリック医薬品のメーカーです。また、医薬品の受託製造も行っております。自社のジェネリック医薬品の開発および受託窓口は、私どもの部署が行っております。開発は製品毎に6~7名のグループで行っており、現在40人弱の開発課員がおります。

 

―分析業務のなかでは、やはり一番多く使われている機器はクロマトグラフでしょうか。

 清野:そうです。

―LCは何台ぐらいお使いですか。

清野:23台です。あとは溶出試験器が多く、8台です。

 

―溶出試験はLC法とUV法とあるかと思います。やはりUV法が多いですか。

清野:UV法をまずは第一選択にします。濃度や賦形剤の影響で、どうしてもLCを選択しなければならない場合もあります。そういった場合はLC法で実施しています。

―ありがとうございます。LCは23台とおっしゃっていましたが、LCを使うお仕事は全体の業務の中でどれぐらいの割合になりますでしょうか。

清野:8割程度ではないでしょうか。

 

―では、今回Empowerをネットワークシステムでご導入いただき、カスタムフィールド等の計算の機能を使っていこうと思われたきっかけは、その8割の時間をなるべく効率よく活用しようということなのでしょうか。

清野:導入のきっかけは、データ信頼性向上の為のチェック体制です。また、CSVの観点から、カスタムフィールドを使用すれば、クロマト用ソフトウェアの標準化及びネットワーク化により、サプライヤの結果をそのまま使用可能と出来る点が大きなメリットと考えました。

Excelでは、解析やデータのまとめよりも、データチェックにかかる時間が半端ではありません。当社ではクロマトのデータをダブル、トリプルで確認しています。そのため、チェックにかかる時間がかなり大きかったのです。

 

―そのチェックとおっしゃっているのは、クロマトから出てきたデータをExcelに転記し、その転記をトリプルでチェックしていたということでしょうか。

清野:LCからExcelへのデータの照らし合わせはもちろんですが、Excelの計算が合っているかも全部計算機で計算していました。

 

―1回1回ですか。

清野:そうです。ですから、溶出試験等追液の補正計算があるような場合、計算式も複雑になりますので、その計算にかかる時間は相当なものだったのです。 データチェックは、ダブルチェック要員とトリプルチェック要員と、それぞれレベルがあります。

ダブルチェックについては、クロマトからExcelへのデータの照らし合わせです。後は、その中の計算が合っているか、書かれている計算式に基づいて計算するという作業の人です。

トリプルチェックの人は、分析の試験責任者レベルの人です。計算式のファクターが合っているか、水分量が合っているかなど、根本的なところを見る人です。Excelは上書きが可能な状態なので、初期の値や計算式が変えられているか分からないので確認が必要でした。また、桁数や丸めなどの重要な部分を見る人がトリプルチェックです。

 

―時間がかかりそうですね。

清野:かかります。

―ダブルチェックをやられる方は何人ぐらいいらっしゃるのですか。

清野:ダブルチェックは30人ぐらいで、トリプルチェックが10人ぐらいです。

 

―それはかなり大変ですね。

清野:そうです。ダブルチェックは黄色のクリアケースに入れて、その後は青いクリアケースに入れてトリプルチェックに回します。データに不備がある場合は、赤色クリアケースに入れ替えて試験者に戻すなどと色分けをして、工夫しています。課員はみんな、クリアケースが溜まってくると嫌になると思います。

 

―そうですよね。チェックする人も嫌になりますね。

清野:そうです。しかも、期限付きです。その期日も、誰にどのデータを振り分けたかというのも、全部Excelで管理しています。振り分け担当もいるのです。

 

―今まで色々なお客様とお話させていただいいていますが、そこまでやっていらっしゃるお客様は少ないように思います。

清野:たぶん大きく違うのは、弊社の場合は分析業務専門の課ではないからだと思います。開発課の中に、ジェネリック医薬品を担当する4グループがあるわけですが、その中には、分析業務をメインで行う人と、製剤の処方組みをメインで行う人と、それぞれいるのです。

処方組みメインの担当者ももちろんデータチェックに回りますが、業務範囲が異なる為に、より信頼性を上げるには、やはりもう1段階の確認が必要なのです。詳しく見られないからといって人選すると、チェック員の作業量が大変なことになってしまいますからね。だから2段階にしています。

 

―それでもやはり間違いとかは出てしまいますか。

清野:残念ですけどあります。

―人間がやるとどうしても間違いは避けられませんから。では、今回Empowerを使って計算をしようという理由は、このチェックを少なくしようというところから始まった話なのですね。

清野:あとはデータの保管、一元管理という部分です。現在はEmpower(PC)毎に、装置メソッド、解析メソッド及びレポートメソッド等の作成・保存が必要ですが、ネットワーク化される事により一元管理・保存先が明確になる為、効率化及び確実性が図れると考えました。また、各製剤、各グループの情報の共有が出来る事は大変有効です。データの一元管理により、バックアップ作業が簡単で、自動バックアップが可能となりますので、サーバー1箇所で、物理的なセキュリティの向上が可能となります。また、サーバーはハードディスクが二重化しているため、PCの故障等に対しリスクが低減するのも大きなメリットです。弊社の場合、サーバーでの一元管理は、開発課を離れてISGが行ってくれるようになりました。

―ISGとはIT課のような部署ですか。

清野:そうです。ISGが会社中のサーバーを管理しているので、そこにEmpowerのサーバーも入れてもらいました。

―では、ITの方がサーバーの面倒を見てくださるという感じでしょうか。

清野:だから楽なのです。

 

―話が飛んでしまいますが、サーバーを導入しようといったときに、ラボのサーバーはあまりITの方が管理したがらないケースもあるのではないかと思います。そのようなことはなかったのですか。

清野:そうですね。むしろ、個々にサーバーを入れられて管理が複雑になるよりは、一元管理してしまいたいという考えです。当社のCSV管理は、GMPのみではなく、会社全体を一元管理します。

―本当ですか。それはすごくよろしいですね。未だにラボのサーバーや分析機器のコンピューターはITの方は関与していただけないケースがよくあります。皆さんは分析のプロですが、サーバーのバックアップ等はその道の専門家に任せられると助かりますよね。

清野:そうですね。一緒に導入に踏み切る事が出来ました。

 

―それは素晴らしいです。そうすると、導入のきっかけとしては、Empowerのスタンドアローンがまず入っていて、Empowerに統一しようというところから始まったのですか。

清野:これまでも、Empowerに統一はしていたのです。しかし、カスタムフィールドの運用までには進んでおらず、ただ普通の解析で使っているだけでした。そのような中、セミナーでご紹介いただいて、カスタムフィールドの運用の仕方、さらにネットワークという話もあったので、これは良いと思いました。

 

―ありがとうございます。では、基本的には皆さんもうEmpowerをお使いで、それをもう少し発展させて使っていこうということで始められたのですね。今回ネットワーク化されたわけですが、使う側の方たちにとっては今までのスタンドアローンとあまり変わらずにお使いいただけたのでしょうか。

飯澤様(以下敬称略):そうですね。ただ、導入当時はやはりトラブルも少々ありました。今は特に問題なく使えています。

 

―導入当時のトラブルとはどのようなものでしたでしょうか。

清野:他社のLCも接続しておりますので、変換機の問題で通信がうまくいかなかったり、ケーブル不具合があったりしました。

 

―分かりました。初期トラブルが解決した後は特に問題はないですか。

飯澤:そうです。問題ないです。

 

―では、ウォーターズのLCだけではなくて、島津さんや日立さんのLCも接続しているのですね。

清野:そうです。23台中、ウォーターズが6台で、島津が4台、その他日立や日本分光などです。

 

―ウォーターズ以外のメーカーさんのLCもコントロールしながら、特に問題なくお使いいただいているということですね。装置メソッドを作成するところというのは、それほど以前と変わった感じはないですか。

飯澤:そうですね。大きく変わったところもないので、特に不便なく使っています。

―ありがとうございます。ネットワーク化をして、次に今度はカスタムフィールドで自動計算ということになってくると思いますが、苦労されましたよね。

清野:しました(笑)。

―すみません。トレーニング等を受けていただいたのでしょうか。

飯澤:最初の基礎的な部分は何も分からない状態だったので、セミナーに参加させていただきました。あとは、何度も御社に電話で問い合わせさせていただきました。やはり弊社としての分析のやり方を反映させたり、あとは製剤によっても計算式が変わってくる等の応用が必要でしたので、ある程度基本的なところが理解できた段階からは自分たちで試行錯誤しながらやってみたというところです。

 

―結構大変だったと思うのですが、時間はかかりましたか。

飯澤:かなりかかりました。たぶん、弊社が今までのフォームをなるべく変えたくないというところがあったので、なおさら面倒だったと思うのです。

 

―Excelでやっていたものをできるだけそのままの形でというご要望があったわけですね。分かりました。Excelのシートから、どれぐらいの割合でEmpowerに変えられていますか。

飯澤:試験としては、純度試験以外は今、基本的に全てEmpowerで解析させています。

 

―ありがとうございます。

清野:開発は、申請までの安定性試験6カ月間、更に3年間の安定性試験というのが、製剤ごとの基本の分析です。製剤化でき、今から安定性を開始する、という時が一番大変な時なのです。カスタムフィールドの運用にあたっては、権限分けをしていますので、アドミニストレーターだけが計算式を組んで、それ以外は誰も変更できないようにしていますので、最初は大変ですが、ルーチンになってしまえばそれを使うだけなので楽です。

 

―では、最初は集中してどなたかにお任せしてやっていただいたという感じですか。

清野:そうです。まずは、1人。

―そこである程度かたちができて、それを応用して何人かの管理者の方がやられるという感じですか。

飯澤:今、増やそうとしているところです。

 

清野:ネットワーク以前に、カスタムフィールドをいかに使いこなすかというところにもずっと興味があったのですが、メインで行ってくれる人がいなかったのでなかなかスムーズに運用出来なかったのです。今回、ネットワーク化をするにあたり、担当を任命し、なんとかプロフェッショナルを目指してもらいました。

―パワーユーザーのような方ができると、そこからどんどん広がるのですよね。皆さんも、分からないことがあったらとりあえずこの人に聞けばという方がいると、わざわざウォーターズまで電話をしなくても、すぐに解決するので、ますます使っていただけるようになるといういい循環になっていきます。そこは弊社もサポート等、もっと頑張らないといけないところだと思います。

 

―カスタムフィールドを運用される際、今までの計算と相違がないかどうかの確認をなさったと思いますが、そのあたりはどうされましたか。

飯澤:カスタムフィールドは、最終的にこれで決まりという状態になったら、それを印刷して、大体2名の試験責任者にチェックしてもらい、そこからはもうカスタムフィールドは変更しません。もし試験法の変更等が生じて変更になった場合は、都度またチェックをし直します。そこからは変更しません。

 

―Excelの結果とEmpowerの結果を比較するということでしょうか。

飯澤:そうです。計算の照らし合わせというのは行います。ただ、カスタムフィールドの計算式の場合はラウンドをかけていません。弊社の場合、Excelで管理していたときはラウンドをかけておりました。カスタムフィールドにおいて、「0.・・・」という部分が当然合わないという問題はありますので、そこの確認は怠りません。

 

―その丸めができないというので、カスタムフィールドをお使いいただけないお客様がいらっしゃいます。そのあたりは、御社では特に問題にはならなかったのですか。

 清野:申請時に問題になりました。やはり、PMDAに提出する資料のなかに計算例が必要ですので、計算例を書いてその値が既に提出済みのデータと同じ値になるかというのを説明しなければならないわけです。社内監査では、数値が合わない為に指摘を受けた事もありましたが、カスタムフィールドを説明出来れば何ら問題ありません。去年の今頃から数品目、Empowerで計算したデータを用いて申請しています。

 清野:弊社の場合はチャートも申請のデータ集として提出しています。10本重ね書きのチャートもPMDAに出していますが、こちらも特に指摘を受けていません。紙の量がすごく減りました。

 

―全然違いますか。

清野:ファイルの少なさに、監査で驚きます。溶出試験とか含量均一性試験は、純度試験のような個々の細かなピークが重要ではない為、重ね書きでも十分かと思って提出しています。

―これはいいことを伺いました。他のお客様にも参考になると思います。

 

―Empowerで計算するようになって、チェック部分に関しては時間が削減できているとお感じですか。

飯澤:そうですね。やはり6時間の溶出試験だと、ダブルチェック、トリプルチェック含めて1時間弱、人によってはもっとかかる場合もあります。ただ、溶出試験のオプションを使うことで、もう計算結果というのは保証された状態ですので、最低限のチェックで終わるような状態です。

 

―ありがとうございます。溶出試験のオプションですが、溶出試験はカスタムフィールドではなく、溶出試験オプションで計算なさっているのですか。

飯澤:溶出試験のオプションにプラスして、カスタムフィールドで計算をさせています。製剤によってその分子量換算ですとか、標準品の水分、希釈係数が変わってきますので、このファクターの部分はカスタムフィールドで追加して計算させているということです。

―プロジェクトを見せていただいたのですが、カスタムフィールドの数もとても多いですね。

飯澤:そうですね。

 

―溶出試験の計算に関しては、特にうちのオプションの計算で問題はないですか。

飯澤:特にないです。

 

―良かったです。ありがとうございます。ちなみに、純度試験にはカスタムフィールドは使われていないということですが。

飯澤:時間があればやりたいと思っているところです。純度は複雑ですので、設定の項目もかなりほかの試験と比べると難しいというのもあります。手を付けるのが最後になってしまったというところで、今後導入予定です。

 

―先ほど、LCのお仕事は全体のタスクの8割ということでした。それはカスタムフィールドを入れる前のお話ですが、カスタムフィールドで運用することによって、業務としてはトータルでどれぐらい軽減になったでしょうか。こちらも感覚的なところになってしまうと思いますが。

飯澤:どれぐらいになりますかね・・・。

 

―先ほど6時間の溶出で、1時間チェックにかかっていたところが10分ぐらいになるということだったので、ほかのチェックでもそのような感じですか。

飯澤:溶出試験が一番差が開きます。

 

―普通の解析業務では変わりますか。

清野:入力がないから解析も結構変わります。そう考えると、入力が結構大変だから純度試験を早くやりたいですね。

 

―そうですね。純度試験が一番複雑ですものね。溶出も複雑ですけれど純度は更に複雑ですから。

飯澤:1回手を付け始めたときがあったのですが、時間が足りなくて1回ストップしていたのです。

 

―そうですよね。普通の分析業務もやりながらですものね。

飯澤:カスタムフィールドを組むのもそうですが、レポートの設定というのも正直同じぐらい大変でした。

 

―そうですね。レポートでできることも多くあるので。

飯澤:やはり基本機能だけだと、こういう分析順序であれば解析可能だけど、違う分析順序だと解析出来ないとか、それでレポートが増えていったら繁雑になりますし。どういう分析順序でも対応できるようなレポートの設定というのが、苦労した部分ではありました。

 

―そうですね。弊社のテレフォンサポートの人よりもよほど詳しいのではないですか。

飯澤:結構自信は付いて来ましたね。

 

清野:弊社はジェネリックメーカーなので、携る製剤数も多いのです。そういったことを毎回毎回壁にぶち当たりながら解決してきました。

 

―ありがとうございます。そういうご苦労の末に、この膨大なカスタムフィールドがあるのですね。ぜひ純度もよろしくお願いします。

飯澤:そうですね。

 

―先ほどのお話で、カスタムフィールドの作成は管理者の方だけという権限設定のお話が出ていましたが、権限は何種類くらい作られているのですか。

清野:3つです。アドミニストレーターとケミストとアナリストです。

 

―では、管理者と、少しパワーユーザーみたいな方と、一般ユーザーみたいな感じですか。

清野:そうです。課員からの苦情は来ています。開発課の業務は、ルーチン試験だけではなく分析検討も日常業務です。検討業務では、レポートメソッドを変更出来ない事がかなり不便です。だから、権限分けをもう少しなんとか増やせないかと思うのですが、でもそこを増やすとケミストとアナリストの違いがなくなってしまうのと、管理が大変になってしまうと思いますので・・・。

 

―そうですね。細かく設定をすれば色々できるのですが、そうするとメンテナンスがやりにくいというのがありますよね。ある程度どこかで割り切らなければいけないというのはあります。

清野:そうですね。だから、今はもうみんなには我慢してもらって、どうしても検討中で設定を変えたいときは、都度、アドミニストレーターを呼ぶとか。(笑)

―弊社でもっとサポートできるように頑張りたいと思います。今回は色々お話を伺わせていただきまして、ありがとうございました。Excelの転記とExcelそのものの管理に苦労されているお客様が多いので、このお話は非常に参考になると思います。今後ともよろしくお願いいたします。